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[コメント] 洲崎パラダイス 赤信号(1956/日)

男と女の腐れ縁を描いた傑作。「女の人生男次第」(逆もまた然り)の言葉もあるが、相手にそうさせているのも、また自分。でも別れられない、これぞ宿命。
青山実花

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ダメダメな男として描かれている三橋達也。しかしこれ、相手が新珠三千代だからそうなってしまう、とも言える。例えば、彼が最初に出会ったのが蕎麦屋の芦川いづみだったら、彼の人生も違うものになっていただろう。でもそこは運命。溺れた相手に身を任せる、それも良し。

パラダイスのアーチを目の前に、ギリギリ踏み止まる新珠三千代が素晴らしい。演技とは思えぬくらい役にハマっている。そこはパラダイス(楽園)を謳いながら、地獄の入り口でもあると、過去ある彼女はちゃんと知っている。

パラダイスの入り口で客たちを迎える轟夕起子の優しさ、親切な心が泣ける。待ち続けた夫が帰って来た時の彼女の喜びに、こちらまで胸が弾んだ、幸せになってほしかった。

ラスト、まるで冒頭に戻ってしまったように、橋の上で同じ事を繰り返す二人であるが、決定的に違うのは、冒頭では新珠三千代の尻を追うようにバスに乗った三橋達也が、逆に彼女の手を引いてバスに乗った事。すったもんだの事件を通して、男として、多少の自信を付けた証であろうか。二人の未来に一筋の希望が見えた。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)ロープブレーク[*] ぽんしゅう[*] 水那岐[*] ジェリー[*] けにろん[*]

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