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[コメント] コラテラル(2004/米)

少なからず映像の風合いでもって美的情緒を喚起し得たSO-SOクライムムービー
junojuna

 後半は破たんするも意外にドラマ立てはスマートな語り口を見せ、そのスタイリッシュな画面処理に映像派としての気概を見せた本作であるが、トム・クルーズが演じるクールな殺し屋がドジを踏む描写は、この作品のタイトルがコラテラル(巻き込まれる)という意味ならなおさら、仕掛を取り違えた踏み外し映画として残念な一品である。トム・クルーズのキャラクター造形は決して間違ってはいないが、シナリオ上のプロットが笑止千万な感を呈して、苦笑に付すシーニングは辛口にならざるを得ない。マックスがヴィンセントの鞄を放り投げる。ヴィンセントがマックスに掴みかかり、「すべての資料が入っていた鞄を、なんてことするんだ!」なんて、それでいいのかと疑ってしまうダメ悪役ぶりである。この映画がダメな殺し屋と、ダメなタクシードライバーの人生交歓物語であれば、もっとファンタスティックな出来となっていただろう。しかし、一級の役者面であるトム・クルーズを起用しては、そうしたオフな映画情緒は立ち現れない。映像のムード的統一感は最後まで徹底していただけに、ドラマの決めに欠けた低調なクライムムービーは不覚である。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)Orpheus ダリア[*] けにろん[*]

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