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[コメント] オペラハット(1936/米)

キャプラお得意のストーリーパターンもこれといった跳躍なくしてご都合主義の域を超えないSO-SO作品
junojuna

ロバート・レッドフォードと相似形のゲイリー・クーパー。ドリュー・バリモアに通ずるジーン・アーサーの可憐など、スターを愛でるのには楽しめる一作であった。しかし、どういう事情でか分からんがジェームズ・スチュアートの方が幾分膨らんだのではないかと思わせる仕上がりが気にかかる。スチュアートは同型パターンの『スミス都へ行く』があるからここはゲイリー・クーパーということなのだろうが、かように概観するキャプラのフィルモグラフィにおいて現在からみてなんの興も湧いてこない作品であったと言わざるを得ない。キャプラの跳躍のないヒューマニズムは『我が家の楽園』、『スミス都へ行く』などどれも物足りなさと教条主義に陥る不味さでいかんともしがたい。やはりコメディに振り切りにくいこうした題材は『素晴らしき哉、人生!』くらいの破綻がなければ満足に至らないのだ。ただし、西部の荒くれ男よろしく、怒りの感情に任せて敵役を一発でのめすあたりは、この時代の鷹揚な精神を表していて実にアメリカンしている。マチズモの躁病的症状が痛快ではある。しかし、ゲイリー・クーパーは堅いな。やはりケイリー・グラントのコミカルセンスの方に分がある。

(評価:★3)

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