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[コメント] 我が家の楽園(1938/米)

善と悪が表裏であることの批評性が皆無であまりに脳天気なBAD作品
junojuna

 喜劇性をもった作家が陥る批評性のないご都合主義で完結してしまう悪い映画の代表となってしまった作品である。フランク・キャプラの進化過程にある凡作といったところだ。この映画の芯を司るライオネル・バリモアの存在は、終始賢人としての振る舞いで余裕を見せているのだが、そのバリモアに体現させたかったテーマにあらゆる映画要素が都合よく集中していくという作劇がなんとも陳腐で、さらには決して善行、悪行ともいえない図式を断罪的に人物に当てはめるといった運びにもいやらしさが明け透けな演出となって虫酸が走る。コメディ要素としても決定的なコミック・キャラクターもいなければ、キャプラらしい映画マジックも見当たらず、せいぜい地下室の花火が暴発するシーンにおいて目が留まる程度の膨らみであった。悪い意味でキャプラの手管につつがないところを証明した作品ではないだろうか。この作品から8年後の『素晴らしき哉、人生!』において反省の答えが見える。

(評価:★2)

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