設定が設定だけにという腰の入り方で、最後までどアホウな感覚を忘れずに押し切ったマイケル・ベイのファンタスティックなセンスは買いたいアメリカンコメディである。まず、シャイア・ラブーフの演技は特筆すべき達成度を見せている。映画の着地点としては、後半のシリアスなムードは致し方ないが、前半の巻き込まれコメディタッチの身のこなしは、将来が楽しみな逸材であると感じた。ベイのふざけた演出も好感がもてる。そういう意味では、キャラクターそれぞれのテンションが微妙なところも確かにある。しかし、同時並行的に語るドラマにスケール感をいかに提示するかという点に苦慮したであろうプロダクションワークの努力は認めたい。後半の戦闘シーンは、オートボットのメカニックデザインが複雑すぎるためよく分らないところも多々あり、からまって転がるだけの攻防はあまりカッコ良くないこともあって単純に飽きてしまったが、このパッケージはなんとなくこのあたりでよろしいと感じた。しかし、ベイは続編を他所にゆずってもよかったのではないか。本作での成果、反省を生かして、その労力は新たな企画素材で発揮してもらいたかった気もする。