[コメント] 紳士協定(1947/米)
テンションの高い主義論に辟易するも映画力ありなSO-SO社会劇
エリア・カザンが声高にやってしまった問題作である。なにより言論をテーマとしてしまっては作品の評価を限定してしまいましてや社会正義を楯とした物語には自由であることが求められるはずの鑑賞者にある種の構えを与えてしまうだろう。現時点から観ればなおのことエリア・カザンの一発ということで本作に暗い影を落としていることは言うまでもない。だが映画の運びは決して不味くないし、人物の魅力を際立たせる作劇の施しも利いていてなるほどアカデミー作品賞受賞という網の目をスルリとやってのけた感じのある趣だが、されどもテーマが愚直にも糾弾的、洗脳的すぎるのでいよいよ終盤にいたってはどんよりと興醒めである。若かりし日の長嶋茂雄(グレゴリー・ペック)が闘う姿勢は美しい。しかし作者の発動的な思想が満面に湛えられた世界観の提示には閉口する。
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