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[コメント] 汚名(1946/米)

恋愛の秘め事と諜報活動の親和性。だが渦巻く陰謀に迫真が足りずSO-SO
junojuna

男の映画なのか女の映画なのか。主人公の視点が立ちどころに変わるので、どちらにも移入しがたい映画的に不埒な奴である。でも、まぁバーグマンの映画か。しかし、当時の粋な男性像を一身に請け負うグラントのにやけ顔もまた味はある。映画中、あれだけ忍び寄る陰に慎重に生きながら、職務を全うしようとするスパイたちを描きながら、映画のジレンマとはいえ、都合の良い、というよりは徹底されていないテンションに目も当てられない為所はあまりにも情けない。この辺りがシリアス路線で走るヒッチコックの限界である。ただし、バーグマンが猛スピードで車を走らせる最中に言った、「(グラントに対し)そのニヤケ顔が腹が立つ」は、強がってみせる女の本音の言葉だ。そうしてみると、この映画は実に男と女の映画であり、諜報活動がとりわけ男と女のかけひきに似てくることを納得させる。まぁ、そんなところを述べて回りながら、またもやマザコン男の薄気味悪さがにじみ出たヒッチコック映画であった。さらに小男というところが怖さを促進させる。馬の手綱さばきは認めるが。

(評価:★3)

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