『新ポリス・ストーリー』と簡単にネーミングしてしまうところ、あまりにも安直な日本の配給会社を呪いたくもなる一作であが、アジア圏を代表するポリスアクター、ジャッキー・チェンの真摯なポリス芸に、もはやキャラとタレントが一体化しているという意味で、新たなアプローチの可能性を示唆した形となった。実話を元にしたとされるノンフィクションな世界観を、カーク・ウォンは衒いなく描いており、エンターテイメント性も十分保持しながら堂々の仕上がりであった。ただし、ジャッキー・チェンの内面描写には、まだまだ外面的な表情に頼る弱さも露呈しており、その点では物足りなさは俄然募る。しかし、今までは軽く見られがちであった人物造形、内面描写という課題に取り組んだ点は、ひじょうに大きい収穫である。アジア圏スーパースターの過渡期的作品。