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[コメント] 三度目の殺人(2017/日)

批判を恐れずに言おう。 是枝監督は自ら進化することを放棄したのではないか。
pinkmoon

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







すでに確立されている是枝風。 そこにどのような脚本が来ようが一定の作風を作れるスキルがあり(それはすごいことだが)、すべては監督の手の内となる。「そして父になる」がカンヌで評価されて以降一貫して感じることだ。

純粋に映画の評価だけをおこなえば、今の日本映画の中ではもちろん水準以上である。 扱うテーマ性、リアルな法廷論争、少しづつ見えてくる三隅の人間性とその哲学。 誰が何を背負って三度目の殺人を犯したのか。 日経新聞の映画評では滅多にない★5つである。

しかし私には作品の芯が見えない。 それはあえて犯人を明確にしなかった見せ方に現れている。 映画として犯人がだれかをハッキリ見せる必要はないが、この作品は作り手が犯人がだれかを曖昧にして作っている意図が見えすぎてしまうのである。 すべての話の流れとセリフがそこに集中している。

この曖昧模糊とした映画の組み立てが、最近の是枝風に共通しており、内向きに進化しているのではないかと感じてしまう。 予定調和。 つまりは苦しんで映画を生み出している感じがまったくしないのである。

期待の監督なだけに日本映画の新境地を見てみたい思いでのコメントです。

(評価:★3)

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