この映画がミラ・ジョヴォヴィッチの鑑賞映画だということは今更言うまでもないが、僕はミラの格好良さに加えてそれ以外の部分も高く評価している。

まず、デザインが良い。ゾンビ映画はどういう場所を舞台にするか。ロメロにせよなんにせよ、ごっちゃごちゃなスラムやインナーシティ、もしくは農村など「人の居住する場所」を貴重としたものが多い。そうすると、カオスな雰囲気、不衛生な雰囲気は出てくるので、まあゾンビ映画らしくはなる。

しかしこの作品はアンブレラ社の地下という、徹底した直角、白、清潔と三拍子揃った場所を舞台としている。ここに汚いゾンビが出てくるという、そのギャップが良い。そして黒地にグリーン文字というかつての情報技術者なら誰もが知っているその色合い、これが最高にマッチしている。そこにミラの白い肌と赤い服である。

不衛生な黒いゾンビ、不自然な白い廊下と壁、機械的な緑のメッセージ、生物的な赤のミラ。これである。

それは例えば「女神転生」や「ニューロマンサー」、あるいは『ブレードランナー』に描かれたような、生物とコンピュータを組み合わせたメカニカルな魅力なのである。このデザインとセットの魅力は、個人的には『マトリックス』の上を言っていると僕は思う。色彩で勝負したことで名高い『英雄』すら、このどぎつい原色の取り合わせを前にしては霞んでしまう。

ミラ鑑賞映画としては一流、ゾンビ映画として二流とよく評価されるが、この作品のデザインセンスにも、もう一度目を向けて欲しい。加えてその他も高いレベルに維持されている。音楽がいい。ミシェルロドリゲスもいい。シナリオもいい。『バイオハザード』は、他のハリウッド有名作品にも伍していると僕は思う。