５０年代のアメリカや堕ちるイメージを表現した世界観がある意味で美しいです。音楽もこれ以上無くマッチしており、複数回観ても楽しめる出来であるというのは、最後のオチが売りの作品としては貴重ではないでしょうか。　原作はホラー作家からも実現不可能といわしめた、ハードボイルドとオカルトの融合として高い評価を受けていましたが、映画版では間延びした感じを抑え、常に新鮮でショッキングな感覚を与えるためか、かなりオカルト寄りです。これは映画的には正しい判断であるように感じます。　基本的に恐ろしいのは雰囲気であり画ではないのですが、死体を発見した主人公が、直後に落ち着いてタバコを吸うシーンが怖いです。　一つ残念なのは、原作の最後の一文を上手く映像で再現出来ず、盛り上がりのピークが、主人公が自分の正体を知ってしまうところになっているところです。本来はもう一度ぞっとするのですが……。