ホームズの卓越した観察力の源に発達障害的なもの（レインマンのあれだ）を持ってきたことによる真実味の肉付が上手いし、ホームズ×ワトソンによるお馴染みのホモ風味のかけあいはアクションシーンの合間に適切にちりばめられている。「脚本」として見るとまあまあレベルかもしれないけど、脚色の技術はかなりあると思う。

ホームズはそもそも短編の評価が高い作品だから、「原作ファンの怒りを買うことなく今風の長編に仕上げろ」といわれても、そんなことはむちゃな話だが、この作品はかなり良い線を行ってるんじゃないかな。ホームズの、飄々としているようで時々滲み出る孤独感を再現しているところが特に感激した。推理の導き方も忠実に再現されている。

でも、娯楽部分はちょっとガチャガチャした感じで伏線の妙を楽しめなかった。書いてるほうからすれば大変だろうけど、凝れば良いってもんじゃない。共同執筆による脚本のようだし、新人が混ざっているようなので、実力を誇示するために張り切りすぎたような感じがする。

2011/01/15鑑賞