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[コメント] 紀子の食卓(2005/日)

愛のむきだし』に至る、偉大なる助走。
田邉 晴彦

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







…というと語弊があるかもしれない。本作に溢れている、エネルギッシュな言葉の羅列、耽美的な映像の波状攻撃は助走なんていう捨て石的な態度で創作しうる代物ではない。あくまで語られるストーリーや作中に登場するキャラクターが意識的にせよ無意識的にせよ『愛のむきだし』を彷彿とさせるという意味。『愛のむきだし』が後発の作品であり、最高の傑作であるが故の「偉大なる助走」というわけだ。

それにしても、本作で園子温は何を描こうとしているのだろうか。一見すると「家族」をテーマにしているのだが、その観点において明確明瞭な結論はない。それよりも、「家族」というテーマはハリボテで、その内実では新しい世界との出会いを通して描かれる少女の成長物語であり、『ミツバチのささやき』に通じる雰囲気を感じる。『不思議の国のアリス』のような異世界に往って帰ってくる少女の話と考えられないこともない。

まあ、何にせよ、少女の話なんだ、これきっと。

で、その点で言えば、まず吉高由里子ですね。フォトジェニックな魅力全開。ビシャビシャ飛び散らせてまくっている。この頃の方が最近(2011年現在)よりカツゼツがはっきりしており、その分、彼女特有の絡みつくようなフェミニンな魅力に欠けているのが残念。でもまあ、とにかくね、かわいい。あと、吹石恵ね。でかいね。瞳じゃなくて、おっぱい。彼女はいいもの持ってるね。添い寝したい。

…とにかく、全体的には見ごたえがある。なんだかよく説明できないが、作品世界に没入し、観賞後、現実世界に戻るのに少し違和感を感じるくらいだ。

ただね、ラスト、長いよ。終わるかな…終わるかな…ああ、まだ終わんねぇ…の繰り返し。自殺サークルが作品の本筋に特段絡んでこないから、ケレンミは増したがその分話が散漫になった感がある。レンタル家族という設定とストーリーテリングにフォーカスすれば個人的にももっとタイトになったと思う。120分でよい。ただ、150分だからこその気だるさがこの作品にマッチしている感もある。

…うーん、あんまりこの作品のこと、理解できてないな。でも、好きな映画です。

以上

(評価:★3)

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