クライマックス、野球場に乗り込むシークエンスにおける金庫番への脅迫。住所と奥さんの名前を伝えて、こちらの要求に応じない場合には報復を辞さない構えをみせ、あっさりとドアを開けさせる。犯罪手口の描き方として、非常にフレッシュだと感じた。

また、オープニングに登場する白の巨塔が、劇中のあらゆるシーンの遠景に映り込んでくる画作りが、この物語がチャールズタウンという非常に限定された狭い地域で進行している事実を伝えており、状況説明の手法としては非常にスマートだ。

その他にも、強盗に遭遇した警官がそっぽを向くシーン（個人的にはジョニー・トー『エグザイル絆』を思い出した）などに散見する小気味よいジョーク、ボストンの狭い路地をロケーションとして最大限活かしたカーチェイスシーンなど、随所に見どころもあり、観客を飽きさせない工夫が見てとれる。

オチのぬるさ、キャラクター描写の如何ともしがたい薄さが、作品の印象を凡庸なものにしているのは残念だが、監督二作目？としては文句のない出来。次回作にも期待。