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[コメント] ある日どこかで(1980/米)

公開当初は興行的に失敗しているがその後TVなどで繰り返し放送されることで人気を獲得した、という本作の背景が、オールタイムベスト『素晴らしき哉、人生!』に似ていることから過剰に期待しすぎたせいか。。素晴らしいシーンはたくさんあるんだけど…
田邉 晴彦

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







たとえば、ポートレイト写真を撮るときに、ジェーン・シーモアがクリストファー・リーヴに向ける愛情に満ちた微笑み。俺も時をかける三十路になったろうか!ってくらい超絶的にカワイイ。そして、ビジュアル的に美しいばかりでなく、そのポートレイト写真にリーヴが一目ぼれして始まる導入部からの伏線がドラマチックに回収されている点もお見事。

あと、主人公が現代の硬貨をみつけてしまうシーンのショッキング描写は、そこまでがソフトフォーカスの優雅な語り口だっただけに、びっくりしたよ、ほんと。

しかし、肝心のタイムトラベルまわりのお話処理がいくらなんでも雑すぎて、設定の時点で白けてしまったよ。こういう一見荒唐無稽の話だからこそ、冒頭20〜30分でがっつりと観客を作品世界に引き込んでほしい。

まずは、主人公がタイムトラベルの方法論にたどり着くまでの展開が幾らなんでもやっつけすぎる。ファンだからという理由だけでいきなり大学の教授訪ねていって、「やったー!タイムトラベルの方法がわかったぞー」っておい!そんな簡単でいいのか?

タイムトラベルのルールが観客にきちんと提示されないから、コインひとつで現代に引き戻される、っていうクライマックスも呑みこみづらい。

何よりも、クリストファー・リーヴがタイムトラベルする最終ゴールが見えないので、お話の推進力に欠けるよ。一目ぼれした女に一目会いたい、という以上のモチベーションがあるとも思えず、じゃあ面会した後は、あっちの世界で結婚するつもりなの?こっちの世界に連れてくるの?そこのへんの将来設計がまったく見えず、ドキドキもハラハラもしない。

あと、あのマネージャーさんて、結局何者だったの?未来を見通せる、みたいな件は如何にも伏線めいていたのに回収されてなくない?気になるよ。

カルト的な人気があるのも判るくらい、随所に素晴らしいシーンもみられるが、主に脚本段階での詰めの甘さから、この世界観に乗り切れない観客もやはり多くいたのではないかと思う。

(評価:★3)

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