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[コメント] レオン(1994/仏=米)

寂しさから開放されるための恋をする少女と、自分のコンプレックス全てを優しく包み込んでくれる存在に惹かれるおじ様による初々しさ溢れた映画。
Bunge

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







本作の特色の一つである大きな年齢差は、意外にも展開にあまり活かされていない。

ベッソン監督は「男の身勝手さを女が見ても楽しめるほど徹底的に美化した作品」とか「母国で聖人視され絶大な人気のあるジャンヌダルクを生々しい狂人に描いた作品」とか「愛を知らなかった乙女に初めて訪れた恋愛絶頂期中に殺しの命令と裏切りをつきつける作品」なんかを撮ってる意地悪な人。だからレオンのキャラ設定にしても「モテナイ男を感情移入させるためには若いイケメン俳優を起用できない。だから男受けもする顔立ちのおっさんを主人公にして容姿と年齢コンプレックスを感じさえないよう配慮しよう。ついでに学力コンプレックスも刺激しないよう、全く勉強ができないかわりに、銃器が扱えて格闘能力だけは高く設定できるアウトローにしよう」みたいな導き方をしたような気がしてならない。もてないブ男にまさかの幸運が!っていうコンセプトは「アンジェラ」で包み隠さず発揮されてるしね。

そしてマチルダにも、これだけ哀れな自分を見せればレオンを上手く利用できるだろう、みたいな黒い計算を感じてしまうのは私だけか(ポートマンの小悪魔オーラも手伝って……)。弟の敵討ちっていう正義感を披露して、ボロが出る前の最高の状態で終わる非凡な恋愛が経験できて、敵討ちは果たせた上に自分は生き延びてるマチルダの運命はちょっと欲張りすぎでは……。

幼い願望というものは、人間捨てようと思ってもなかなか捨てきれないもの。ここまで徹底すればやっぱり楽しめちゃうんだな。他の監督には真似できない独自の味、目を見張る演出力、徹底した娯楽性、俳優の発掘眼、やっぱり作品&監督ともども一級品。

(評価:★4)

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