よく取材をしているのだろうか。全編リアリティの塊と言って良い。牛の屍骸を盾にするアイデアが面白かった。迫力の戦車、吸着爆弾作戦などはミリタリーマニアに見せたくなるようなクオリティーに仕上がっている。だがエンターテイメント映画としては作風が重過ぎるきらいがある。

人物は幅広く描かれているものの群像劇としての面白さは薄い。たびたび登場する「心のより所」を戦友や上官に設定すれば娯楽性が上がったかもしれない。主や母にすがる彼らはリアルだが、リアルでしかない。

わたしとしてはシンドラーのリスト路線もしくはナバロンの要塞路線が見たかった。混ぜ合わせたものではない。肝心のライアンに余韻を感じなかったのがもっとも残念な点だ。いろいろ描きすぎではないだろうか。

公開当時に劇場鑑賞していれば最低でも4点をつけていたであろうことを書き添えておく。