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[コメント] ビューティフル・マインド(2001/米)

荒唐無稽
Bunge

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







重い統合失調症を恋人に悟られることなくどんどん仲が深まっていく展開に違和感。ノンフィクションを原作としているようだが、事実とは到底思えない。

諜報活動を軸としたサスペンス性や、後の複線となるロマンスに満ちた台詞に没頭させられる前半。物語に引き込まれるのは良いことだが、主人公と恋人とのコミュニケーションにまったくリアルさが感じられない。緻密に描けば描くほど「疾患が現れた時にたまたま彼女がそばにいない」というご都合主義が浮き彫りになるからだ。面白いかけあいとリアルなかけあいは違う。

愛の物語として締めくくっているわりに、自閉症スペクトラム(作中で明言されてはいないが明らかにそう)の障害を乗り越えて恋愛に至る過程が大雑把なのは致命的である。いっそ自閉の部分を削ってよりフィクションに近づけたほうが質の面で間違い無く向上した。自閉の人生とは苦しみに包まれているので感動物語とは相容れない要素である。だから知的障害の部分を重くして一般的コミュニケーションと隔絶させた「レインマン」や、ラストの後味が悪く自閉傾向を軽めに描いた「レナードの朝」のほうが調和がとれているのだ。

頑張って作られた作品であるとは思う。しかしラストでジョン・ナッシュ(実在する本人)の現状がテロップで流れた際のノンフィクション的空気と、前半のフィクション的空気が「統合失調」を起こしている。

2012/03/08

(評価:★3)

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