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DSCHさんのコメント: 更新順

★4一度も撃ってません(2019/日)15年くらい前、新宿の某天ぷら屋の前に、「なんかすっげえおっかないけど異様にカッコいい、いかにも只者ではなさそうなおっさん」が佇んでいて、恐々遠くから見入ったら石橋さんだったことがあります。まんま、この感じでした。趣味が良いとはとても言えぬファーをまとった見知らぬ女性と夜の街に消えたのです。 [review][投票(3)]
★4戦場のメリークリスマス(1983/英=日)「菊」に対置される「赤いハイビスカス」。「恥」と「誇り」。「神道」と「キリスト教」。象徴と象徴のせめぎ合いを暗示する数々の要素を負うという意味において、演技の巧拙は措いても、アイドル(偶像)のキャスティングが必要不可欠だったのだろう。ヨノイの「よろめき」をセクシャルな面だけで捉えてはならない。 [review][投票(5)]
★4ブルータル・ジャスティス(2018/米=カナダ)顛末語りの根底にあると思われる社会観が少し煙たい(※)ものの、面白い。グダグダな喋りの緩さ、おかしさと呵責ないアクションの緩急の「間」による翻弄。片頬だけ上げて皮肉に嗤う「たちの悪い冗談」としての人生。タランティーノコーエンの後に来たるべくして来た象徴的なアメリカ映画。覆面二人の異様な迫力とカラッカラに乾いたブラックユーモアがたまらない。撮影も相当いい。 [review][投票(3)]
★4ランボー ラスト・ブラッド(2019/米)守るべきもの探しは殺すべきもの探しであり、事件を契機にむしろ水を得た魚のように生き生きし始める。引き裂かれた己を自覚しつつも反射神経的に展開される超暴力が哀しく、怒りと苦悶の表情は歓喜の表情にも見える。単線構造だが巧拙を超えたスタローンの佇まいに年輪と映画史を感じて深い。善悪度外視の強烈さは、映画の邪悪さと崇高さを体現する。[投票]
★4タクシー運転手 約束は海を越えて(2017/韓国)「息子」の言によればいくつかの事実は異なり、描写の公平性はバランスを欠く。終盤の暴走でもいったん「うーん」と腕組みをしてしまったし、虐殺描写時のスローも好ましい演出には思えない。だが、作品の全体を見渡せば些細なことのように思える。それぐらい、目で見て伝えることの困難さ、崇高さや、小さな力のバトンを繋いでいくことに寄せる思いの強さを娯楽で伝えようとする気概に打たれた。いい映画だと思いました。 [review][投票(1)]
★4宮本から君へ(2019/日)したり顔の他者の理解、介入を拒絶する「聖域」の「愛(と便宜的に呼ばれるもの)」を描いて究極的。新井英樹の世界の住人には異様な「筋」が通っている。共感できない、理解できない、でもそこには汚濁が突如聖性に変換される瞬間があって、その時いつも僕は立ち竦む。狼狽える。心がかき乱される。そういう得体のしれない「動揺」を与えてくれるものは、そうそうない。 [review][投票(2)]
★3ライフ(2017/米)言うまでもなく「どん判」テンプレの劣化『エイリアン』だが、プロがプロなりに手を尽くした結果が一つずつ着実につまづいていく様に、この手の作品には珍しい無常感が醸されていく。そしてそれは人間不信の面相が板に着いたギレンホールさんの帰結とともに、爆発的に昇華する。しかも皮肉な笑いを伴って。狙ってるのか狙ってないのかわからないが、独特にちょっと面白い。[投票]
★3ミッドサマー(2019/米=スウェーデン)狂気とは確信である。当事者には忌避される理由がわからないから隠そうともしない。全てが開けっぴろげに晒される。闇がない、白夜。聖域がない。壁がない。同じ共同体の暴力でも、空間の扱いについて、幾多の壁で仕切られる『ローズマリーの赤ちゃん』の都市的空間(聖域の集合体)との対比から見ると前半は面白いが、後半はそのコンセプトと矛盾していく。 [review][投票(3)]
★4初恋(2019/日)死んだつもりで生きるより、生きるために生きる方が難しい。怖いだろ、でもそれが生なんだぜ。走り抜けろ!・・・って何マジになってるの三池さん、という驚きと喜び。少なくとも私には若干照れの入っただけのマジ映画。 [review][投票(1)]
★4家族ゲーム(1983/日)「日常」は「違和」により捏造され、「違和」は「普通」のものとして取り澄ましている。この違和を「全て終わってしまえばいいのに」の視点で炙り出せば、あらゆる事象が異様で醜悪な怪奇映画に。まるで黒沢清の画面(影響受けてる?)。優作は「違和の人」ということも再確認。 [review][投票(3)]
★4ベイビー・ドライバー(2017/米)男と女と車一台あれば映画はできるかもしれないが、音楽があれば、もっといいだろう。甘口な中弛みは否めないが、映画の基本的な興奮に立ち返ったアクションは秀逸。即ち、アクション、編集、音楽のシンクロの快楽。リズムとしての映画。殊勲賞は編集だと思う。 [review][投票(1)]
★3アド・アストラ(2019/米)無限の夢も底なしの狂気もない御都合ミニマム収斂で膝カックンなのだが、狙ってこっちに行ったのが明らかなのがむしろ天晴れ(マーロン・ブランドが出てくると映画が壊れてしまう)。ホイットマさんにしろブラピにしろ、ガワだけでこれだけ見せるのは凄い。それでも『火の鳥』くらいあっちに逝ってこいが観たかった。[投票(1)]
★3バットマン・リターンズ(1992/米)世界への呪詛は願望の裏返しだ。根っこの根っこでは愛されたい。しかし自分は愛されることのないフリークスだ、と決定的にとどめを刺された時の絶望。しかしその絶望は、安堵にも似ている。「獣達」それぞれの「帰郷」には胸を突かれる思いがする。やはりよく出来た作品ではないと思うが、殴り書きされた呪詛に寄せる慈しみはバートン随一。[投票(3)]
★4ウィッチ(2015/米=カナダ)「不毛の地」を示す寒々とした撮影や、悪意ある切り取りのストレスの積み重ねが丁寧。神の沈黙への絶望→「背教」「背信」の安らぎ・悦楽という背徳の快感を否応なしに強いられる。だから何?という話ではあるが、それが面白いかと問われれば面白いと答える。 [review][投票]
★3ヴィジット(2015/米)「俺たち、お互い(家族)のこと、何にも知らないね・・・」(『おそ松さん』第一期13話「トド松のライン」より) [review][投票(1)]
★4JUNK HEAD(2017/日)「ヌルヌル」、「グチュグチュ」「ザラザラ」、「ブヨブヨ」・・・優れたストップモーションアニメが全てそうであるように、「触覚」の描写が素晴らしい。その偏執は物語ともマッチしている。無機的な世界に対比される、グロテスクながら生き生きした有機物の際立つ生(性)の本能、その手触り。贅沢な彫琢がされた地獄で遊ぶ。これも一つの映画的天国。三バカのフィギュア欲しい。 [review][投票(5)]
★3パシフィック・リム(2013/米)デルトロの作家性で異形を叩きのめすって感じがピンと来ない。異形と交感(交歓)したり蹂躙される方に適性があるから、芦田愛菜がゴリッゴリにクトゥルフで触手モリモリな「カイジュウ」とドリフト・シンクロしたらシンクロ率100%で「精神汚染が・・・」とか人類の敵に回って「薙ぎ払え!」みたいな方が楽しいんじゃないかと思った・・・まあ私の方に適性がないのでしょう。 [review][投票(2)]
★2マグニフィセント・セブン(2016/米)私利私怨を超えて尊厳や大義のためだったとするなら、恐れや「正義」への疑念を跳ね除ける情念と挿話の彫り込みが少ない、あるいは矛盾があって説得力がない。結構駄目な映画に見える。どの辺が現代的なのだろう。この中途半端だとイーストウッド先生あたりにドヤされるんじゃないだろうか。原作もこんなものなのだろうか? [review][投票(1)]
★21917 命をかけた伝令(2019/英=米)リアルな時間、空間、臨場感、事件を演出しようとして、却って貧相な映画的作為が浮き彫りになってしまうというか。映画のリアルって絶対こういうことじゃない。言葉は悪いが、ディズニー・リゾートのアトラクションに乗っている気分になった。ハッタリの極みの果てにリアルを顕現させて欲しい。「心」を感じない、この監督らしい映画。[投票(2)]
★3ジョジョ・ラビット(2019/米)ヒトラーに傾倒して世界を破壊するのも、女の子になびいて世界を救うも壊すも紙一重。無垢の希望と狂気を描くに究極的な題材なのだが、善意が溢れ過ぎている。もちろん、だからこその良さがたくさんあって否定したくないのだが、境界線上での爪先立ちのスリルというか越境する不健康さ、危うさが欲しい。 [review][投票(5)]