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DSCHさんのコメント: 点数順

★4ブラック・サンデー(1977/米)原作と監督のスタンスの匙加減がいいのだろう。『ミュンヘン』で感じたような致命的違和感がここにはなかった。大義を巡る要点は整理されて過不足ない。素っ気ないタイトルバックやお偉いさんがぶつぶつ呟く会議、襲撃シーンのドライさ。一方で、隠しても隠しきれないウエットさが滲むテロ首謀者二名の造形。安易に形容しがたい「特殊」な 結びつき。滲ませない演出、滲んじゃう部分双方に惹かれる。「音」への気配りも◎。[投票(3)]
★4ターミネーター2(1991/米)不死の敵との対峙も、「機械」との「愛」の構築も「プログラム=運命」の破綻因子=エラー=人間による戦いであるというコンセプトの軸はやはり熱い。機械と人を分かつもののテーマをもっと掘り下げて欲しいと思いつつ、ただのプログラムから「父」と化す満身創痍のシュワはやはり泣かせる。しかし、機械とヒトの接近において、ロバート・パトリックの造形を介して、おぞましさも併置される演出が面白い。 [review][投票(3)]
★4ブギーナイツ(1997/米)どんな姑息でクソッタレな人生でも、それと決めて始めてしまったら続けるしかない。一見華やかで脳天気なセックスとドラッグの饗宴はしかし、いずれ勃たなくなる男根が象徴する終わりや破綻への恐怖の裏返しのようだ。終わりを予感しながら「騒ぎ続ける夜」の、何という残酷さ。しかし、そんな人生達にも帰る家はある。というより、彼らは寄り添って家を「作る」だろう。優しい物語。 [review][投票(3)]
★4遊星からの物体X(1982/米)笑っちゃう画が確かにあるが、真の絶望は冗談を引き連れて現れる、という視座から観ると完全に妥当だ。しかも様々な表情の死が大挙して観る者を襲う。餓死、凍死、焼死、肉を切り裂かれ貫かれる痛みへの恐怖。しかしそれらを遥かに凌駕する「私が私であるという確証がどこにもなくなる」という「個・我」の死という恐怖を生者に強いる映画だ。 [review][投票(3)]
★496時間(2008/仏)荒れ狂うプロ、毒を以て毒を制す。暴力という毒への疑義抜きに毒を語るのは今時野蛮か無自覚と思うが、そのへん眼中に一回入れた上でぶっ飛ばしている感がある。銃口を外道に向けるニーソンの落ちくぼんで昏い眼窩などの一匙演出が的確。昨今、正義の暴力をエンタメに仕上げる難しさを思うと、なかなかに困難な「快感と倫理」のバランス上でつま先立ちするスリル感を覚える。ニーソンという人選はその印象の絶対条件。 [review][投票(3)]
★4白いリボン(2009/独=オーストリア=仏=伊)「世界のこわれかた」。 [review][投票(3)]
★4隠された記憶(2005/仏=オーストリア=独=伊)嘘とトラウマが炙り出され、関係性の仮面を破壊される時、崩壊状態こそが「日常」となる。しかしそのささくれた自覚に立たされた上で、再び「監視」されたまま「平穏な日常」に差し戻される地獄。「視る」という暴力へのサド的快感の共有と、「視られる」ことへの「疚しさ・罪悪感」に起因する嫌悪を観る者に同時に強いる定点カメラのサディスティック。逃がすまいと観る者を絡め取るハネケの加虐趣味的シミュレーション。 [review][投票(3)]
★4鉄男 TETSUO(1989/日)無機物のグロテスクな有機感(濡れた鋼)。呼応しあう鉄と肉の怒号と交歓。「都市への怒り」→「強くなりたい」→「鉄と肉の融合(媾合)」という 短絡性が確信に結びつくとき、馬鹿馬鹿しい程のエネルギーが生まれ、鉄は肉に、肉は鉄になる「新世界」へ。ある都市論の可視化が鉄肉愛憎表裏一体 のセックスと戦いに至ったという力業。ぐちゃぐちゃだが一貫してる。タイトルからしてエッチ。御苦労。 [review][投票(3)]
★4ミックマック(2009/仏)スクラップ製の悪戯で暴力をおちょくり倒すという心意気。ユーモアは世界を救う。「暴力はユーモアで軽く凌駕できる、むしろすべきだ、え?何かおかしい?」とでも言わんばかりの素朴な楽観的哲学を浅慮と見るか否かは自由。私はこの愛しき浅慮を肯定する。また、戦争被害を一言で「流れ弾」と示唆する導入が結構鋭い。「ジュネ主義的」なコミカル演出・撮影もクリーンヒット。世界観と矛盾しない。 [review][投票(3)]
★4竜馬暗殺(1974/日)無血革命の竜馬。武力倒幕の中岡。何者にもなれない殺人者右太。違いはどうあれ、彼らは変装し、隠れ続ける。「ええじゃないか」の嘲りに巻かれ、どう頑張っても足掻いても彼らは社会的に透明人間として在ることしかできない。暖簾に腕押しの青春。しかも暖簾の先は血の海なのだ。「河原の化粧三人組」。行儀良く並んで座る背中のわびしさと居心地の悪さ。この滑稽と不条理に尽きる。哀切かつ凄絶なブラックコメディ。 [review][投票(3)]
★4リンダ リンダ リンダ(2005/日)「意味なんてないよ」。さりとて「無為の日々」ではない。でも「青春」が共同幻想だということも知っていて、その暗黙の了解が最強に生きる「学園祭」という場で共闘を無理矢理成立させるヒネくれぶり。それでも即席高校生ガールズバンドのブルーハーツで突破されたいと思ったのは何より監督本人だろう。本当はこんな言説で凝り固まった頭を「うるせえよ!この能書ネクラ野郎!」とひっぱたいて欲しいんだと思う。 [review][投票(3)]
★4人生に乾杯!(2007/ハンガリー)へっぽこ警察ブラボー。君たちは優しい。そして「俺たちにも明日はある」。※ラストについてコメント追記 [review][投票(3)]
★4タンポポ(1985/日)食べるシーンも食を追求するシーンも悉くセックスと同義。陰惨になりやすいテーマを明るく切り取る真性エロ礼賛映画。この頃の邦画の賑やかないかがわしさは深作伊丹亡きあと、やはりメジャーな舞台では喪われたのだろうか。あらゆる郷愁を誘うモニュメント的な傑作。 [review][投票(3)]
★4スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐(2005/米)「ファンタジーは殺戮の臭気と色彩に汚された。」汚された・・・? [review][投票(3)]
★4ミークス・カットオフ(2010/米)アギーレ』嫡流の現代的・神話的成果。一本道の大河に流されるのではなく、先導者と一行はあくまで荒涼とした大地を自分の足で歩き、迷い、深淵(先住民)と対峙する。そして深淵がアメリカを見返す。「フロンティア」は未だにあるのか?ミシェルはアメリカの「何」に落とし前をつけるのか?迷えるアメリカの「現在地」。倒木に刻むLOSTの四文字の静かな戦慄。無駄カットなしの緊張感。[投票(2)]
★4アンブレイカブル(2000/米)プリンスみたいな扮装と変な髪型で説教し、アメコミ店で頬杖ついて車椅子上で放心するサミュエルさんの画だけで彼のファンとして★4確定なのだが、例え腰砕けの馬鹿話としても捨ておけない。物事には裏表、対極があり、英雄は敵がいてこそ輝く(アメリカ的病理)。出会いは同時に決別の合図となる。そして、妄信、狂信、誤信、その形態がどうあれ、信じることの「熱」が人を動かす。本質に迫る意志があり、切々と哀しい。 [review][投票(2)]
★4女王陛下のお気に入り(2018/アイルランド=英=米)宮廷の溢れに溢れた装飾と調度品を余すところなく捉える洪水のような情報量なのだが、反比例してその空疎さが際立つ。ここには何もかもがあるが、何もない。衣装とカツラは剥がされるためにあり、ご馳走は病に罹り嘔吐するために摂取され、調度品は破壊され吐瀉物を受け止めるためにそこに置かれ、あらゆる物は本来の意味をなさない。 [review][投票(2)]
★4ロボコップ(1987/米)懐かしくなって久々に観たらここまで毒々しかったかと唖然。陽気な退廃と残虐性で80年代アメリカの末期症状を刻印する。そして、怒りと疑問こそ人間性の出発点というあられもない洞察。露悪のヘドロの中にダイヤの原石が埋まっている。某サブスクに落ちてるから、さあみんなも「1ドルで楽しむべ!」。 [review][投票(2)]
★4ノースマン 導かれし復讐者(2021/米)動物映画。獣性の発露が人間性の発露と同義になる、まさに神代の物語。あらゆる獣、獣、獣(人間)。正調復讐劇に、火、風、水、土の四大エレメント、光と闇と、昼と夜、そして生と死。もっともらしい顔をして結構な厨二感があって満腹。剣戟に鋼の重みがあり、泥臭くていい。そしてエガースの撮るアニャさんはここでも正しい。お美しい・・・ [review][投票(2)]
★4戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版(2014/日)半日かけて、ぶっ続けで観てしまった。それにしても、私は一体、何を観せられていたのか・・・(採点評価は、オリジナルビデオシリーズを含みます) [review][投票(2)]