コメンテータ
ランキング
HELP

DSCHさんのコメント: 点数順

★4ゼイリブ(1988/米)「(『タクシードライバー』―文学性―予算+愛嬌+天然+カーペンター汁)×B=『ゼイリブ』=ギリギリセーフなB級電波系ストレス解消アクション(主人公が単細胞なので真顔で社会派)」という複雑怪奇。 [review][投票(2)]
★4おいしい生活(2000/米)「教養不足」がそれと知らずスノビズムをコケにするのが笑いの基本線だが、「俗」への「嫌悪」ではなく優しい眼差しが快適。この暖かさこそ品性。そりゃカタツムリよりチーズバーガーだろうさ。更に傍目には破綻して見える罵り合い基調の夫婦関係が「当事者にしか理解し得ない愛」で成立している、という夫婦関係の本質理解が至上の「夫婦漫才」を完成させる。罵りと茶化しの応酬に「突如」挟まれる抱擁シーンの可愛らしさ! [review][投票(2)]
★4バートン・フィンク(1991/米)全ての事象が、等しいレベルで、同じ方向に、少しだけ、ズレている世界。「違和感」を秩序立てて統制することでコーエンが現出した世界には、その世界だけの確固とした「リアル」がある。異物に闖入されて崩壊する日常ではなく、自らが異物として飲み込まれ、排泄される恐怖。魂焦がすほどの違和感はやがて後戻りできないカタストロフへ。秀作。[投票(2)]
★4ニューオーダー(2020/メキシコ=仏)劇中、結婚式を除けば劇伴は冒頭とラストのみ。冒頭は、「死者だけが戦争の終わりを見た」というタイトルの抽象画をバックに、ショスタコーヴィチの交響曲第11番の一楽章導入。冴え冴えとした空気に滲む流血の予感。ここからすでに破滅の足音が凄まじい。「侵食」の映画。 [review][投票(1)]
★4THE BATMAN ザ・バットマン(2022/米)「またお前か」の感はあるが、もう日本人にとってのゴジラみたいなフォーマットなのだろう。「探偵」の性質が強調された、恐らく史上最弱のバットマン。驟雨に打たれるアメリカの自分探しと襲来するアイデンティティの喪失・転倒の反復。念入りに編まれた既視感こそが肝。ゾーイが超絶美人で眼福。 [review][投票(1)]
★4哀れなるものたち(2023/英)ようこそ、この滅びと生の不思議の国、「人間の世界」へ。シン・『シザーハンズ』+不思議の国のアリスの趣。哀れなるものたち、抑圧と解放、被害者と加害者を己の中に同居させる不思議な獣。世界のバランスに関するグロテスクな寓話。ややもすると宮崎駿の生き霊が憑依している。面白いが、撮影はやり過ぎ。 [review][投票(1)]
★4サイコ・ゴアマン(2020/カナダ)何かと大時代で冗談の通じない残虐宇宙怪人がクレイジー鬼畜少女に手玉に取られる・・・というどこかで聞いたような設定で、笑いから特撮演出まで、何だか懐かし新しいニューレトロの趣。ミミの明るい七変化外道ぶりが楽しく(逸材ではなかろうか)、暴政に喘いでも何となく満更でもなさそうな兄ルークのリアクション演技も可笑しい。そしてやっぱり特撮の面白さ。アホな設定、顛末、ヘビメタも含め、はっきり言って好き。 [review][投票(1)]
★4ロスト・ハイウェイ(1997/米)それまで「穴」「光」「カーテン」を介して異世界と繋がっていたのが、ここから「顔(肉体)」「名前」を介してねじれた迷宮を創造するようになった。それらが「穴」(結節点)になったのだ。そして「穴」は拡散し、偏在するようになる。何が中で外か、前か後か、果てない混沌が広がる。変哲のない部屋、陽光をこれだけ恐ろしく、しかし蠱惑的に撮れる監督はやっぱりいない。 [review][投票(1)]
★4最後まで行く(2014/韓国)大山鳴動して鼠一匹の奥行きのなさが残念だが、コーエン嫡流的なノワールコメディとしては十分以上に面白い。即ち運命(プロット)に嗤われる主人公。あたふたと情けなくエネルギーを発散する人間のおかしさ。爆笑ポイント多数。 [review][投票(1)]
★4ドラッグ・ウォー 毒戦(2012/香港=中国)策謀も、捜査も、痛みや死ですらも、ひたすらに手続き的。無情緒による情緒というものがある。混迷が底無しに深まり、崩れかけても崖っぷちの爪先立ちで無表情を貫くスン・ホンレイから、却って無常感が立ち上がる。好演である。対してひたすらに濃ゆい顔面のルイス・クー。 [review][投票(1)]
★4へレディタリー 継承(2018/米)トニ・コレットに●●したのは◯よりむしろシェリー・デュヴァルだろう・・・というお話はともかく、『シャイニング』(キューブリック版)等が正しく踏まえられた達成。演出面のオマージュも然りだが、家族という牢獄の中で、秘められた不信と憎悪が顕になることで事が粛々と運ばれる底意地の悪さも。 [review][投票(1)]
★4アフリカン・カンフー・ナチス(2020/独=日)すばらしい闇鍋映画。笑うべきかどうか少しだけ迷ったが、すぐ笑うことに決めた。人類の敵は悪意をもって嗤ってやらねばなるまい。公式サイトと東條役秋元義人氏のサイトも必見。 [review][投票(1)]
★4DAICONFILM版 帰ってきたウルトラマン(1983/日)風の谷のナウシカ』巨神兵が荒ぶるシーンでの庵野さんの関与を知った事を契機に、「庵野は爆発だ」「爆発が観られればモトが取れる」と真剣に考えているファンとして、期待に見合う爆発とカッティングが観られて嬉しい。しかしそれだけではなく、あのダサいジーンズでの飛び蹴りには不覚にも胸が熱くなってしまった。熱くなってしまったものはどうしようもない。[投票(1)]
★4ディック・ロングはなぜ死んだのか?(2019/米)ハングオーバー』フォロワーかと思ったらポストコーエン兄弟だった件。たちの悪い冗談のような人生。笑うべきなのか、嗤うべきなのか、悲しむべきなのか、再三さりげなく差し挟まれる十字架の作用もあって、複雑な感慨に放り込まれるが、コーエンより心根が優しい気がする。脚本がすごくいい。断じてただのバカ映画ではない。 [review][投票(1)]
★4モンキー・ビジネス(1952/米)ホークス初見。突然跳んだり跳ねたりのジンジャーらの痙攣的な突拍子もないアクションが楽しい。コップ芸の動きを見るに体幹バッキバキだろう。グラントの余裕(でも真面目にやってる)、暴走シーンのスピード感も含めて他愛ないように見せかけて紛れもなくプロにしか出来ない高度なおふざけ。フェイスペイントに瓶底眼鏡のグラントが愛おしいです。モンローはモノクロの方がかわいく見えますね。[投票(1)]
★4茶目子の一日(1931/日)シュール。人が物や生活を支配しているつもりになっているのは大きな思い違いではないか、という気持ちの悪い気付きがある。物と生活が人を支配するのだ。(服を着るのではなく着られるシーンで安部公房の『』を想起した)作り手がその気なのかわからない脳天気がまた異様で、自由意志が蹂躙されてるようにも見える結構なホラーフィルム。(寒山さんのレビューで興味を持ち、調べたところ、YouTubeで視聴出来ました)[投票(1)]
★4Mr.ノーバディ(2021/米)要するに回春ネタだというのが可笑しい(アツくなってきた!)。全編にわたり冗談、シャレが貫かれており、何度も観たくなる画も多い。殺戮をギャグにしようと思っても、凄惨な影を払拭するのは結構難しいもので、これがちゃんと出来るのは絶対偉いと思う。Don’t stop me now.Cause I’m havin’ a good time, havin’ a good time ! [review][投票(1)]
★4タクシー運転手 約束は海を越えて(2017/韓国)「息子」の言によればいくつかの事実は異なり、描写の公平性はバランスを欠く。終盤の暴走でもいったん「うーん」と腕組みをしてしまったし、虐殺描写時のスローも好ましい演出には思えない。だが、作品の全体を見渡せば些細なことのように思える。それぐらい、目で見て伝えることの困難さ、崇高さや、小さな力のバトンを繋いでいくことに寄せる思いの強さを娯楽で伝えようとする気概に打たれた。いい映画だと思いました。 [review][投票(1)]
★4初恋(2019/日)死んだつもりで生きるより、生きるために生きる方が難しい。怖いだろ、でもそれが生なんだぜ。走り抜けろ!・・・って何マジになってるの三池さん、という驚きと喜び。少なくとも私には若干照れの入っただけのマジ映画。 [review][投票(1)]
★4ベイビー・ドライバー(2017/米)男と女と車一台あれば映画はできるかもしれないが、音楽があれば、もっといいだろう。甘口な中弛みは否めないが、映画の基本的な興奮に立ち返ったアクションは秀逸。即ち、アクション、編集、音楽のシンクロの快楽。リズムとしての映画。殊勲賞は編集だと思う。 [review][投票(1)]