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DSCHさんのコメント: 点数順

★4イレイザーヘッド(1977/米)レバー男にしろ瘤女にしろ、理性だとか狂気のメタファなどと簡単に説明できてしまうあたり、後作の混沌と比べて逝きっぷりに物足りなさを感じるが、「おかえりなさい」と言わんばかりな瘤女(狂気)との抱擁の不気味キュートに作家性が収斂される(このシーン大好き)。狂気・不快は時に甘美だとするスタンスは古典的に挑発的で、表現に一切迷いがないのは偉いとしか言いようがない。 [review][投票(1)]
★4親切なクムジャさん(2005/韓国)悪魔であるからこその「優しさ(親切)」と、天使であるが故の「残酷(愛からの憎悪)」という両極を具有する復讐者が体現する世界観。人のためならぬ「情け」で作り上げたその「ケーキ」は、甘いのか、苦いのか。 [review][投票(1)]
★4復讐者に憐れみを(2002/韓国)苛烈であるが故に、もっとも反語的に道徳的な映画のひとつ。因果応報を「100%」と断定するチャヌクの演出にはケレンだけでなく厳しさも貫かれている。血まみれの、やさしい世界に憐れみを。優しい悪魔たち。 [review][投票(1)]
★4ランボー(1982/米)アメリカの自己否定。現実認識が激しく混乱した米国製ベトナム育ちの山狩り専門のモンスターvs根も葉もない異者恐怖と排斥を「狩り」への潜在的暴力欲求に結びつけてしまう保安官。どちらも「後遺症」の産物だが、イラクを経た今は保安官の造形も優れていると思う。そして任務は終わった、と大佐が言う。任務?「任務」とは?極めて重く虚しい設問。[投票(1)]
★4うなぎ(1997/日)うなぎやUFOに託して「戻らないかもしれない、もしくは存在しないかもしれない何かが戻るのを待つ」という生ぬるくも切実な、しかしもやもやした「待ち」の空気を描くことに成功している。ここにある「誰かと何かを待つ」画は結構いい。悪意と突き放しとサルベージの匙加減が良く、安易に「癒」という言葉を寄せ付けない空気感が好ましい。この映画に「好ましい」なんてちょっと変ですが。 [review][投票(1)]
★4グラディエーター(2000/米)暴力のプロである故に身を滅ぼしたと理解しても、やはり暴力的プロたることでしか落とし前をつけられないクロウ親父。菱形陣形!のシャウトが熱くも哀しい。対して、暴力的プロ根性に唾を吐きかけ、欺瞞と謀略のローマを道連れにしようとするが如く自爆的に屈折するピュアニートホアキンが食らう激痛のしっぺ返し。今日的悲哀に満ちている。中盤の端折りが惜しい。 [投票(1)]
★4動物農場(1954/英)寓意のための物語なので、寓意をはみ出る驚きこそないものの、「共産主義の理想郷」崩壊メカニズムの解説の手際は鮮やかで目が離せない。カタストロフが約束された物語と知っていても、ディズニー真っ青の猛毒デフォルメの容赦なさや、暗殺や簒奪、選民、動員、虐殺といったモチーフの淡々と着実・整然とした挿入が、抜き差しならない緊張を醸成。そして歴史は繰り返す(繰り返してはならない)。 [review][投票(1)]
★4王様と鳥(1980/仏)暴政への揶揄は当然だが、「自由」を一面的に「善」と捉えず、その「可能性」に放り出される厳しさ(茫漠たる荒野)や、それを獲得するために振るわれた暴力へ向けた冷静な視線が心地よい。更に、大小・高低の演出と美術が素晴らしく、映画内世界の巨大な拡がりが、作品を寓意に縮こまることから救っている・・・が、能書き以前に、王のドッペルゲンガー登場以降の不条理で美しい悪夢的世界の魅惑に酔うべきだ。キレキレである。 [review][投票(1)]
★4人生万歳!(2009/米)厭世と屁理屈が周回して突き抜けた先が、既成価値の爆破とあっけらかんとした楽観。今や大して珍しくもない話で、それ自体がボリスに言わしめるクリシェ(陳腐な表現)であるような気もするし、ウッドの可愛さも異常とはいえ見慣れたミューズ造形の範疇だが、脚本封印から30年を経て敢えて「これでもか」と押してくるアレンの年季と提示タイミングに説得力。それこそ「クリシェ」的強度。音楽ネタが素晴らしい。 [review][投票(1)]
★4イースタン・プロミス(2007/英=カナダ=米)凶器に用いられるのは刃物のみである。「殺すこと」とは「血を断つこと」である、もしくは、「生かすこと」とは「血を続かせること」である、という「血(縁)」を巡る描写の徹底ぶりに感心。「断ち切るもの」としての「ナイフ」はその描写に正確に寄与している。 [review][投票(1)]
★4ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009/日)世界の中心で「アイ」を叫んだけもの。" I =alone (わたし)"で完結する死でなく、" 相 =You are (not) alone."。 手をつないだ「ふたり」の「愛」で世界を終わらせる。いかに心性の根が病んでいようと、そういった禍々しく破壊的な画を、実は誰もが観たいものなんじゃないだろうか。「アイのビッグ・バン」なんて。無謀で馬鹿げた美しさを、正直なところ「ステキ・・・」としか形容しようがない。 [review][投票(1)]
★4ストレイト・ストーリー(1999/米=仏=英)「人生の収穫日」に自らトラクターで向かい、その日を家族と迎えること。たびたび挿入される麦の収穫の空撮と星空が命の連鎖を想起させる。いつにも増してセンチメンタルなバダラメンティのスコアと柔らかく優しい撮影が遂に陽光から禍々しさを除き、何より一片の星影も闇の中に認めたことのないリンチが、ロストハイウェイの爆走の果てに見出した星空に嘘はない。 [review][投票(1)]
★4ファニーゲーム U.S.A.(2007/米=仏=英=オーストリア=独=伊)「角」を全て奪われてから「本番」を迎えるオセロゲーム。対戦者は白。全く打ち返せない理由を理解しつつも、それを受け入れることができないまま、盤面は白で埋め尽くされ、最後に紅く染められる。死角のない暴力のシミュレーション。 [review][投票(1)]
★4フィフス・エレメント(1997/米=仏)オールドマンホルムのちょこまかしみじみ可愛らしい働きに心が疼く。ブライオン・ジェームズのフィーチャーも泣ける。ウィリスはいつもの愛嬌たっぷりの強いおじさん(××××)で、私にとってこれは「愉しいおじさん映画(お座敷遊び系)」。人選とイジリの趣味がいい(個人的感覚)。更にベッソンが真性のB野郎であることを告白してくれたら和解するしかない(結局コレもフェイクなら私は泣きますが)。 [review][投票(1)]
★4ウォレスとグルミット チーズ・ホリデー(1989/英)よちよちまったりでシュールなスピード感。「面倒くさくてもとにかく手作り」という意地に「無意味の意味」が滲み、「愛せ、愛せよ」と私のこころが叫ぶ・・・チョチョイっと潤沢予算とCGで仕上げちゃうのとはお話の次元が違うのだ。筋からして丸きり「無駄手間」である。でも他愛なくかわいらしい無駄手間って、本当に素敵だよね。監督はきっとそれが「映画」だと言っているのだ。人生には無駄が必要なのだ。無駄を愉しめ。 [review][投票(1)]
★4フロム・ダスク・ティル・ドーン(1996/米)「お前ら一体何を大騒ぎしてたんだ!」素晴らしきメタなボケツッコミ。 [review][投票(1)]
★4人狼 JIN-ROH(1999/日)無為な内輪もめと策謀と自己陶酔に包囲され閉塞する心。低く昏い空。虚ろな時代の暗黒の迷宮=地下水道で「赤ずきん」が流す「それでも、だからこそ愛しか寄る辺はないのに」というやるせなく苦い涙。このウエットな演出と独特の台詞回しには心の予期しない部分を突かれた。押井脚本の能書の空虚さ(本作については敢えてこの表現を使おう)はかえってベタな情感の反作用としててきめんに効を奏したと評価したい。 [review][投票(1)]
★4バーン・アフター・リーディング(2008/米=英=仏)レビューする中身がない、と高評価するのが正解・・・と書くだけのつもりだったにも関わらず、やっぱりダラダラ書いちゃった。 [review][投票(1)]
★4スター・ウォーズ 帝国の逆襲(1980/米)R2を狙えば銀河は征服出来る、というお話はさておき、人の生死に「痛み」と「血のにおい」を感じるのは以降エピソード3を待たなければならない。この一方でロボット漫才にシリーズ中最もキレがあり、アクションシーンも適度なスピード、質量感。ハリウッドらしい娯楽精神と適度な真摯さが同居して、嫌みなく安心して観ることができる。ヨーダ愛爆発。 [review][投票(1)]
★4好きだ、(2005/日)もどかしい想いが空に、風に、水に、夜に、吸い込まれる。それでも吸い込まれまいとするささやかな抗いがどうしようもなく優しくも切ない空気を生む。その「空気」が主役の映画。拡散する想いを一手に集めるろうそくの灯りが美しい。空気を醸し、捉える制作陣と役者に拍手。宮崎永作の必殺タッグに鼻血・・・ [review][投票(1)]