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DSCHさんのコメント: 点数順

★3マーズ・アタック!(1996/米)異星人モノは「コミュニケーション」が成立するか没状態で破綻するかの匙加減が肝。この「ビミョーにコミュニケーションが取れる」という匙加減がビミョーに絶妙に決まり、仕草と意味合いのギャップに黒い笑いを見いだす筒井康隆的センスにフーセン火星人のビジュアルが完璧マッチ。オチも「コミュニケーション」をキーとして観れば悪意たっぷりで満足。しかしアクションとシーンの繋ぎが悪く、ネタ博覧会に終始したのが痛すぎる。[投票(3)]
★3スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師(2007/米)「肉」「処刑台」の接写、過剰に丹念な残虐・暗黒のロンドン描写等「イメージの強要」により観る者の想像は阻害され、ステージ上で細部を補完しつつの筒井的・社会風刺的なブラックコメディとしての感興は「強要されるグロ」に霞んで消える。残るのは血の酩酊、シェークスピア的因果応報、罪と罰の暗黒のみ。映画的に丹念であればこそ縮こまる世界がある。イメージの伸びしろを残すことは時に大切なのだ。 [review][投票(3)]
★3バットマン(1989/米)性悪説の証明と拡散・普遍化に傾注し「遺憾ながら」現代的共感を得た『ダークナイト』の「誰でもない狂賢人」ジョーカーとは違い、こちらは狂気に堕ちる一人の男の悲哀に寄せるバートンの「異人への慈愛」が先行したジョーカー造形で、また違う味わいを楽しめる。ただし・・・ [review][投票(3)]
★3デューン 砂の惑星PART2(2024/米)じっくりと豊かに流れる「時間」の構築、ヴィルヌーヴの長所が息を潜めてしまっている。セカセカと筋の消化に追われるヴィルヌーヴなんて見たくない。珍しく撮影も悪く、不用意な人物のアップだらけで、巨大なはずの世界がえらく狭い場所に感じる。ツギハギのアクションにジマーの轟音を被せる反復も無造作で、ノーランがスベった時と同じ失望があった。前作の方が遥かに格上。 [review][投票(2)]
★3レッド・ロケット(2021/米)「アメリカン・ドリーム、最後の乱痴気騒ぎ」なのか。『フロリダ・プロジェクト』で対岸的遠景に捉えられていた「夢の国」ディズニーランドすらここにはなく、更に刹那的、断末魔的な狂騒。トランプの大統領就任前夜の影も手伝い、見てくれに反してしんどい。ラストカットの主人公のぎこちなく引き攣った笑みとストロベリーの不敵な笑み・・・この国で今「大丈夫」って何なのだろう。 [review][投票(2)]
★3犬王(2021/日)一世一代、文字通りの命懸けの舞台、ほとんど決死戦みたいなところに振り切れた情念やドラマが収斂せず、何か期待に反した苦味が残る。史実(というほどのものはないのかもしれないが)など無視して、もっと跳躍すれば良かったのに。原作が悪いのか、読み手が悪いのか、私にはよくわからない。あと、アヴちゃん森山未来が負けている。向井秀徳先生じゃいけなかったのか。まあいけなかったのだろうな、、、 [review][投票(2)]
★3シン・仮面ライダー(2023/日)木梨憲武のドロップキックの方がよほど身体性を感じさせる・・・という冗談はともかく、主人公がいつ「笑えば・・・いいと思うよ」って言うかと思いながら観ました(二つの意味で)。馬鹿馬鹿しくて、正直結構楽しんだんですが、ふざけてる暇があったら次のステップに進んでいただきたいです。 [review][投票(2)]
★3LAMB/ラム(2021/アイスランド=ポーランド=スウェーデン)十分とんでもない話なんだけど、もっととんでもないことになると思ってワクワクしてしまった私は心が汚れているのでしょう。 [review][投票(2)]
★3ラストナイト・イン・ソーホー(2021/英)鏡を介した彼我の混同の演出がかなり凝っていて(どうやって撮るんだろう)、主役二人の良さもあって見入るのだが、にしてもヤング向け(死語)劣化マルホランドドライブの域を出ないなあ、このまま逝くのだろうかと思っていると、 [review][投票(2)]
★3バクラウ 地図から消された村(2019/ブラジル=仏)清汚併せ呑む「マイノリティ」「逃亡者」のアジール。多様性だの人権だのとうるさい、面倒だから消えてしまえばいい、という「マジョリティ」の潜在意識。「今から数年後」とされる点から、大なり小なり、いずれ血の雨が降る、という「断絶」の予言的寓話として観るべきであり、混沌がジャンル映画的に簡潔な帰結に至るのもアイロニーの一つなのだろう、と思いたい・・・が。 [review][投票(2)]
★3パシフィック・リム(2013/米)デルトロの作家性で異形を叩きのめすって感じがピンと来ない。異形と交感(交歓)したり蹂躙される方に適性があるから、芦田愛菜がゴリッゴリにクトゥルフで触手モリモリな「カイジュウ」とドリフト・シンクロしたらシンクロ率100%で「精神汚染が・・・」とか人類の敵に回って「薙ぎ払え!」みたいな方が楽しいんじゃないかと思った・・・まあ私の方に適性がないのでしょう。 [review][投票(2)]
★3アップグレード(2018/米)寄生、義体化やネットとの融合、新生命体、仮想現実と現実の融解というテーマ上でまさしくけにろんさんご指摘の『寄生獣』であり『GHOST IN THE SHELL』なのだが、人間性や実存への執拗なこだわりこそが熱さを生むのに、それが薄くてイマイチつまらぬなと思っていたら人間性の駆逐こそが肝だったというつまらなさというか面白さというか。 [review][投票(2)]
★3イコライザー(2014/米)技のデパート。これが目的の映画だから仕方ない部分はあるにせよ、修道僧のような彼と、後半の多彩な処刑スタイルを興じるような彼と状況が結びつかないことに目を瞑れば楽しい。モレッツさんを持ってきただけで男のファンタジー要件が成立。つくづくおっさんキラー。これが最低限の手数という面白さ。 [review][投票(2)]
★3ジェーン・ドウの解剖(2016/英)目を開けた死者と目を合わせると、何も見ていないはずの目が、何もかもを見通し、自分も何かを見透かされているようで怖い。「死体というモノ」と「ヒト」を分かつものが何か、生きている自分とは何かという命題にも否応なしに向き合わされる(私も簡単にモノに変換されるのではないかという恐怖。裏腹にモノとして扱う手つき)。大変おそろしい密室であるが、この感想は半ば私の勘違いである。たぶん。 [review][投票(2)]
★3ナイスガイズ!(2016/米)享楽的で猥雑で軽い70年代感は及第点。ゴズリングのヨレヨレ感は、所々で某スコセッシ作品中のディカプリオのラリリに匹敵し、70年代的胡散臭さも十分。何がどうしてうまくいったかよくわからんという味わいがジャンル的に正しく、子役が最高に可愛いが、ジョン・グッドマン化してなおクロウが三枚目に徹し切れず、やや歯切れが悪い。主演二人のダメ男が子役にどつき回される感じがより徹底してれば★4だった。[投票(2)]
★3デッドプール(2016/米)センターよりも脇で、素性素顔一切不明のゴキゲン外道という扱いの方がこのキャラは生きるのでは。外道振りが純情の裏返しである旨の開示が過ぎて、健全じゃんという印象を持ってしまった。『ダークナイト』『キック・アス』『スパイダーマン』あたりへの批評性も軽く、怪作になり損ねた感がある。運ちゃんとの絡みがタランティーノみたいだったり、体術主体の戦闘、メタ、パロディ、殺戮ギャグは割と好みなだけに残念。[投票(2)]
★3ファンタスティック・プラネット(1973/仏=チェコスロバキア)生態系の気色悪さや酷薄は先行する手塚先生の作品群(特に『火の鳥 宇宙編』)の二番煎じでしかないような気がするが、人間が「駆除」される(「虐殺」ではない)、というあっけらかんなテンションには開いた口が塞がらなくなる。圧倒的な力による排除はこういった滑稽さで表現されるほうがリアルなのかも。音楽が妙にオシャレ。[投票(2)]
★3TOKYO TRIBE(2014/日)血と暴力の世界でLOVE&PEACEを勝ち取りたければ、代償として血塗れになるしかない。ヌルい言説に対する的厳しさは汲んだ。屍を越えたLOVE&PEACEこそ本物だ。でも、実際に収斂までされると机上の空論的で空々しく、情念が湧き上がらない。照れ隠しの猥雑演出やギャグの滑り、タラへの目配せもいい加減キツい。園ってばホント助平、と感心もしたし、地獄の描き方に腹の据わりも感じたけど。 [review][投票(2)]
★3マッドマックス(1979/豪)果てしなく続く荒野と道、車輪の回転が示唆する憎悪の無限連鎖。いったん狂気に入れば一方通行で限界を超えて加速し続ける。B級な画面が中和しなければとても観ていられない怖さ。でも、もっと観ていられないくらい怖い方が正解ではないのか。ラストの一本道は『わらの犬』と双璧だが、もっと丁寧に撮って欲しいところまで似ている。 [review][投票(2)]
★3ディパーテッド(2006/米)「ちょっと散歩に行ってくる」的風情で両手を血に染めて現れるニコルソン親父。ぶらり御大のトボケ顔や構図も相まって醸し出されるどす黒い笑い。この、血に退屈したキレキレ感には「有難や」と落涙して悦んだが、それ以外ほとんど印象に残っていない。テクは確かと思うが、「心」の面で突き抜けるものを感じない。もっとも、落下ショットは心技ともに傑出していたかもしれないが。 [review][投票(2)]