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DSCHさんのコメント: 点数順

★5モダン・タイムス(1936/米)アクションのテーマ的昇華は随一。「甘んじて自らの身体をオモチャにする」というドMなお家芸神業ギャグと、「オモチャがヒトをオモチャにする」という機械文明のドSな風景がサド=マゾ的に融合し、補完し、高めあう。そして、何がサドでマゾなのか不明瞭になったオモチャの共犯世界に「モダン」が訪れる。それに抗うようにポーレットと咲かす「ヒト」という名の素朴で小さな花。その鼻血級の可憐さ、あたたかさ。 [review][投票(2)]
★5ライフ・アクアティック(2004/米)ウェス・アンダーソンの最も「個人的」な作品であり、それ故に2011年時点での最高傑作と評価していいだろう。「疑われた男」。血走った眼のズィスー(マーレイ)の拳銃が執念を貫くために火を吹く時、その顔がいくらトボけていようともその姿に監督が己を重ねていたとしても驚かない。そして、私はこの「照れまくる」男アンダーソンの「暴発」を最大限に支持する。「赤帽」のいかがわしさはかくして打ち砕かれる。 [review][投票(2)]
★5ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢(2008/英)ドMマグロ天然ボケのウォレス氏に言葉を持たないグルミット君がツッコミを入れるためには、とにかく寡黙に忠犬スタイルを貫いて「アクション」するしかない。これほど「アクション」が雄弁なツッコミとして必然化する設定を愉しまない手はない。しかも観客からツッコむ暇だけは絶対に与えないというナンセンスのスピード感と漲る自信。至上の英国ド突き漫才アクション。魅力的過ぎる手触り。参った。怒濤と豊穣の30分。 [review][投票(2)]
★5第9地区(2009/米=ニュージーランド)シャルト・コプリーが汚物にまみれながら全力で連発する"Fuck!"を全力で支持する。アラはこの際関係ない。ところでコプリーの台詞がほとんどアドリブって本当なのか? [review][投票(2)]
★5天空の城ラピュタ(1986/日)「ぅあぁがぁれえぇぇぇぇぇ・・・!(平均点)」 (レビューは今更感満々のシビレポイントと極私的ネタ)僅かに追記。 [review][投票(2)]
★5つみきのいえ(2008/日)お願い、もうそれ以上深く潜らないで・・・!(滂沱たる涙と共に) [review][投票(2)]
★5紅の豚(1992/日)時代の道化=豚。時代の要請として「カッコいい英雄」で「あるべき」男が、徹頭徹尾時代を無視して自己陶酔する「破廉恥な豚」であることをわざわざ誇示する勇気。あの時代、あのイタリアで徹頭徹尾「カッコ悪く」「遊び続けること」は命懸けだ。何よりそれは、戦争を明るく放棄する反逆者として「カッコ良いこと」ではなかったか。好きな映画なんだけどなあ・・・ [review][投票(2)]
★5オーケストラ!(2009/仏)歴史に踏みにじられて散り散りになってもしぶとく熱く生きる、人への、音楽への想いを束ね、爆発させる展開に涙が止まらない・・・そう、これが魂の音楽。心を引き裂かれても人は演奏したいものなんだ!神が降りてくる瞬間は必ずあるんだよ!(いち奏者としてやや感情的なレビュー) [review][投票(2)]
★5アビス(1989/米)魂の・・・ [review][投票(2)]
★5ブレア・ウィッチ・プロジェクト(1999/米)結果に至る過程の説明を全排除し、矢継ぎ早に「結果」だけを繰り出す。本来は語り手の無能を示すが、意図的に行えばその限りではない。ここまで観客の脳内補完力に完全依存する徹底ぶりは、無能では決してなく、観客の成熟を期した確信犯(であると信じたい)。後にも先にもあってはならない社会的実験妄想力認定映画。一番怖いのは己の頭ん中である。唯一無二。[投票(2)]
★5チャップリンの 独裁者(1940/米)エンディングのBGMについて。そして全裸のチャーリー。 [review][投票(2)]
★5DUNE/デューン 砂の惑星(2021/米)文字通り血を吐く異文化交流。五感で飛び込み命を賭ける全霊のコミュニケーション。これはヴィルヌーヴらしい「境界線」上のドラマの徹底。無類の「巨きさ」と細部の意匠、「豊穣な緩慢さ」にも磨きがかかり、もはや新古典の趣。ド直球で好み。嫌いな人がいるのも相変わらず頷けるが。 [review][投票(1)]
★5仁義なき戦い 代理戦争(1973/日)混迷が深まれば深まるほど、その愚行に注がれるエネルギーの大きさのグロテスクが際立つ。何のためかも大義も忘れ、ひたすら騙し合い、殺しあう。何故そんなに一生懸命なのか。もはや無常感に己の道を振り返る暇もなく、行き場をなくしたエネルギーが連鎖爆発する。怒りや哀しみを通り越して命の浪費を楽しんでいるような情念の徹底を前に、人間って不思議な生き物だという感想が浮かんだ。 [review][投票(1)]
★5チャッピー(2015/米=メキシコ=南アフリカ)ヨハネスブルグというカオス的「現実」を創作の強みとして持つブロムガンプの『ピノキオ』。絶対良い。ぐちゃぐちゃだが、これぞ監督の持ち味で、混沌の世界の中心で立ち竦むチャッピーの姿に切々と沁みる叙情性を与えている。未整理のまま怒りを叩きつける純情なベタさ、粗さがたまらない。掃き溜めに咲く花のようなベッドサイドストーリーを筆頭に、正直涙が止まらなかった。コプリーの演技も◎。[投票(1)]
★5赤ちゃん泥棒(1987/米)不可逆性の無常と滑稽を語り続けるコーエンは、象徴的なショットを必ず挿入する。多くが滑稽かつ陰惨な風景(宙を飛ぶ車、死体、流血etc)。が、ここでは「(さらった)赤ちゃんがかわいくて離せなくなっちゃった」と喜びと当惑で半ベソのホリーと、不安な変てこ顔のケイジそして赤ちゃんのスリーショット。嘲笑的でも僅かに優しいのが常だが、これは優しさ全開。「頑張れ」と言っている。まずここで涙が出る。 [review][投票(1)]
★5ハッシュ!(2001/日)「なんで、絶対、なんて言えるんだよ・・・!」と田辺誠一が絞り出すように発する言葉で思い出したのは、「あなたはすぐに絶対などと言う。私は、すごくそれを嫌がるの」という椎名林檎の歌だった。奇しくも制作年は2000年〜2001年、価値の混沌、ゼロ年代の始まりに符号していた。当時18歳で、以来、絶えず「絶対」という概念に「違和感」を感じて生きている僕には、この二つの作品は永遠に福音である。 [review][投票(1)]
★5ダンボ(1941/米)ディズニー・クラシックらしい楽曲と奇想アクションの融合、鉄格子越しにつなぐお鼻(手)のぬくもりの切なさ、ダンボの愛らしさを堪能するにとどまらない。「マイノリティ」と「マジョリティ」の関係性を痛罵する風刺が心地いい。「嫌われ者」であるネズミやカラスのノリノリな「黒人音楽」がキーになるあたりが時代性を捉えてもいて痛快。 [review][投票(1)]
★5地獄の黙示録(1979/米)「源流」と「支流」。「終わらないその後」の「黙示録」。 [review][投票(1)]
★5ヨコハマメリー(2005/日)狂人か、哲学者か。アイドルか、庇護の対象者か。はたまた白い亡霊か。彼女を目撃した人は、それぞれがそれぞれの像を彼女の上に見るだろう。その時、人は無意識に自らの「歴史」と「都市観」と対峙させられている事に気づく。そして、街の中心に佇む、歴史の偶像のような、歴史のおとした影のような彼女もまた確かに人としてそこに在ったということも。 [review][投票(1)]
★5乱(1985/日)幻想的なまでに凄惨。凄惨なまでに幻想的。漆黒の鎧兜の餓鬼と餓鬼が喰らい合い、硝煙と、残忍な程鮮やかに閃く旗印、炎と血の海を蒼白の幽鬼がさまよう時、綺麗事を嘲笑うように無常と惨は美を現出してしまう。そして「関係性」の死屍累々。人は何故悲劇を求め、観るのか。黒澤、渾身の回答。死すべき古典は、今なお永らえている。だからこその傑作である。 [review][投票(1)]