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DSCHさんのコメント: 投票数順

★3レッド・ロケット(2021/米)「アメリカン・ドリーム、最後の乱痴気騒ぎ」なのか。『フロリダ・プロジェクト』で対岸的遠景に捉えられていた「夢の国」ディズニーランドすらここにはなく、更に刹那的、断末魔的な狂騒。トランプの大統領就任前夜の影も手伝い、見てくれに反してしんどい。ラストカットの主人公のぎこちなく引き攣った笑みとストロベリーの不敵な笑み・・・この国で今「大丈夫」って何なのだろう。 [review][投票(2)]
★4女王陛下のお気に入り(2018/アイルランド=英=米)宮廷の溢れに溢れた装飾と調度品を余すところなく捉える洪水のような情報量なのだが、反比例してその空疎さが際立つ。ここには何もかもがあるが、何もない。衣装とカツラは剥がされるためにあり、ご馳走は病に罹り嘔吐するために摂取され、調度品は破壊され吐瀉物を受け止めるためにそこに置かれ、あらゆる物は本来の意味をなさない。 [review][投票(2)]
★4ロボコップ(1987/米)懐かしくなって久々に観たらここまで毒々しかったかと唖然。陽気な退廃と残虐性で80年代アメリカの末期症状を刻印する。そして、怒りと疑問こそ人間性の出発点というあられもない洞察。露悪のヘドロの中にダイヤの原石が埋まっている。某サブスクに落ちてるから、さあみんなも「1ドルで楽しむべ!」。 [review][投票(2)]
★4ノースマン 導かれし復讐者(2021/米)動物映画。獣性の発露が人間性の発露と同義になる、まさに神代の物語。あらゆる獣、獣、獣(人間)。正調復讐劇に、火、風、水、土の四大エレメント、光と闇と、昼と夜、そして生と死。もっともらしい顔をして結構な厨二感があって満腹。剣戟に鋼の重みがあり、泥臭くていい。そしてエガースの撮るアニャさんはここでも正しい。お美しい・・・ [review][投票(2)]
★4戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版(2014/日)半日かけて、ぶっ続けで観てしまった。それにしても、私は一体、何を観せられていたのか・・・(採点評価は、オリジナルビデオシリーズを含みます) [review][投票(2)]
★3犬王(2021/日)一世一代、文字通りの命懸けの舞台、ほとんど決死戦みたいなところに振り切れた情念やドラマが収斂せず、何か期待に反した苦味が残る。史実(というほどのものはないのかもしれないが)など無視して、もっと跳躍すれば良かったのに。原作が悪いのか、読み手が悪いのか、私にはよくわからない。あと、アヴちゃん森山未来が負けている。向井秀徳先生じゃいけなかったのか。まあいけなかったのだろうな、、、 [review][投票(2)]
★4グッドフェローズ(1990/米)「法」はなく、「徳」すら売られた。欲と力、奇妙な錬金システムへの妄執。流麗な諧謔、軽薄さの哀しいギャグ・ギャング映画だった。それでもこの時代には、まだ罪と罰はあった。罪も罰も無くなったら、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の世界に至るのだ。(私のニワカ・スコセッシ観について。) [review][投票(2)]
★5荒野のストレンジャー(1972/米)一見整合性が取れないように見える奇妙な部分が一番の肝のように思える。誰にも(善も悪もなく)容赦ない不条理さは災害を思わせるが、それは公平さですらある。言わばイーストウッドの『ゴジラ』。本気度が窺える「地獄の業火」。 [review][投票(2)]
★3シン・仮面ライダー(2023/日)木梨憲武のドロップキックの方がよほど身体性を感じさせる・・・という冗談はともかく、主人公がいつ「笑えば・・・いいと思うよ」って言うかと思いながら観ました(二つの意味で)。馬鹿馬鹿しくて、正直結構楽しんだんですが、ふざけてる暇があったら次のステップに進んでいただきたいです。 [review][投票(2)]
★3LAMB/ラム(2021/アイスランド=ポーランド=スウェーデン)十分とんでもない話なんだけど、もっととんでもないことになると思ってワクワクしてしまった私は心が汚れているのでしょう。 [review][投票(2)]
★3ラストナイト・イン・ソーホー(2021/英)鏡を介した彼我の混同の演出がかなり凝っていて(どうやって撮るんだろう)、主役二人の良さもあって見入るのだが、にしてもヤング向け(死語)劣化マルホランドドライブの域を出ないなあ、このまま逝くのだろうかと思っていると、 [review][投票(2)]
★4Swallow スワロウ(2019/米)他人の身体、消化器官としての「家」(社会)。対して「異物」としての主人公。異物のままに排出され、何ものにも包摂・消化されず、異物のままに生きるということ。一見スリラーのフリしたフェミニズム映画に見えるのだが、実はそれにすらも背を向けている孤高がある。身体性とテーマを重ねた演出はこの点、一貫して見応えあり。私のこころも体も、私のものだ。 [review][投票(2)]
★3バクラウ 地図から消された村(2019/ブラジル=仏)清汚併せ呑む「マイノリティ」「逃亡者」のアジール。多様性だの人権だのとうるさい、面倒だから消えてしまえばいい、という「マジョリティ」の潜在意識。「今から数年後」とされる点から、大なり小なり、いずれ血の雨が降る、という「断絶」の予言的寓話として観るべきであり、混沌がジャンル映画的に簡潔な帰結に至るのもアイロニーの一つなのだろう、と思いたい・・・が。 [review][投票(2)]
★4地獄の警備員(1992/日)「許す?お前の何を許すんだ?」「どうする?それは、あんたが決めることだ」「お前はそれを理解することに耐えられない」・・・問いかける「異常者」、そして暗黒に染まる主人公と世界。黒沢清初期作でありながら観る者の「清指数」が問われる清一見さんお断り映画。 [review][投票(2)]
★4宮本から君へ(2019/日)したり顔の他者の理解、介入を拒絶する「聖域」の「愛(と便宜的に呼ばれるもの)」を描いて究極的。新井英樹の世界の住人には異様な「筋」が通っている。共感できない、理解できない、でもそこには汚濁が突如聖性に変換される瞬間があって、その時いつも僕は立ち竦む。狼狽える。心がかき乱される。そういう得体のしれない「動揺」を与えてくれるものは、そうそうない。 [review][投票(2)]
★3パシフィック・リム(2013/米)デルトロの作家性で異形を叩きのめすって感じがピンと来ない。異形と交感(交歓)したり蹂躙される方に適性があるから、芦田愛菜がゴリッゴリにクトゥルフで触手モリモリな「カイジュウ」とドリフト・シンクロしたらシンクロ率100%で「精神汚染が・・・」とか人類の敵に回って「薙ぎ払え!」みたいな方が楽しいんじゃないかと思った・・・まあ私の方に適性がないのでしょう。 [review][投票(2)]
★21917 命をかけた伝令(2019/英=米)リアルな時間、空間、臨場感、事件を演出しようとして、却って貧相な映画的作為が浮き彫りになってしまうというか。映画のリアルって絶対こういうことじゃない。言葉は悪いが、ディズニー・リゾートのアトラクションに乗っている気分になった。ハッタリの極みの果てにリアルを顕現させて欲しい。「心」を感じない、この監督らしい映画。[投票(2)]
★3アップグレード(2018/米)寄生、義体化やネットとの融合、新生命体、仮想現実と現実の融解というテーマ上でまさしくけにろんさんご指摘の『寄生獣』であり『GHOST IN THE SHELL』なのだが、人間性や実存への執拗なこだわりこそが熱さを生むのに、それが薄くてイマイチつまらぬなと思っていたら人間性の駆逐こそが肝だったというつまらなさというか面白さというか。 [review][投票(2)]
★4新しき世界(2013/韓国)一見マグロに見えた主人公が牙を剥くまでのタメと人物配置が良く、「選択」の瞬間がスリリング。結局映画を動かすのは組織の理念でも損得でもなく「情念」であり、この「情念」を負う主演三名いずれもいいが、やはりミンシクが素晴らしく好み。既に彼岸の人の暴力的な投げやりさ。疲れた風貌に苛烈さを隠し、僅かな、しかし強い哀しみを疼かせる。記号的といえばそうかもしれないが、それがいい。[投票(2)]
★4教授のおかしな妄想殺人(2015/米)エマ・ストーンの続投からも分かる通り、『マジック・イン・ムーンライト』の対となる作品。「ミューズ(笑)」を軸に、男の厭世のこじれの反動が陰に振れるか、陽に振れるかのケース比較の解説で、これは前者に解放されてしまったほう。頭がいいのか悪いのか、こっちにハマってしまう、際どく哀しいおかしさ。ハンナ・アーレント曰く「悪は凡庸」。 [review][投票(2)]