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DSCHさんのコメント: 投票数順

★4宇宙戦争(2005/米)不死身のダディの綱渡り家族愛貫徹。陳腐化したヒロイックなテーマを、ここで、この状況下で、敢えて「ヒーロー・生者」であることの疚しさとして提示するスピルバーグの自己批判的覚悟。なるほどトム・クルーズ。極めて痛切。そして「毒」について。 [review][投票(2)]
★3回路(2001/日)「生死」という血の通った言葉を「いる」「いない」の無機的な二択に変換。ここには「血」がなく「染み」だけがある。どこに「いる」のか、どこに「いない」のか、「いる」のに「いない」、「いない」のに 「いる」、そして境界の喪失に至って現出する「永遠」という牢獄。冷血黒沢の虚無の顕れる残忍な編集、カメラ、色の枯れ果てた死相(思想)の蠱惑には抗しがたい。意識の立ち位置の混乱のみによって観る者を揺さぶる力業。 [review][投票(2)]
★3スター・ウォーズ(1977/米)「ヒャッハー!ヤフー!シケた故郷(クニ)から飛び出して姫様救出大冒険だぜあわよくばアブブブ」な嬌声が支配する童貞妄想全開な青臭さと、脳天気な無自覚に辟易するタチなので、正当化された殺戮に断固正面から応じる帝国の皆さんの「悪逆非道」徹底にむしろ映画的に心躍る。加えてロボ漫才、熊さん、気の抜けた殺陣、手作り異星人造形に滲む涙ぐましい映画愛がどうしても嫌いになれない困った作品。 [review][投票(2)]
★4祭りの準備(1975/日)つくづく共同体というのは暗黙の了解、閉塞と醜への忍従の共犯関係だな、と些かうんざりする。脱出願望の根拠たる「青春」という名の自意識もかえって人を責め苛む。そして共犯と隠蔽の象徴としての「祭り」。「うんざりする」のは、依然としてそれが当を得て普遍化しているからで、遂にこれが今『松ヶ根』を経て『ヒーローショー』に至るのか、と考えると心底滅入るが、横溢する黒い笑いは正直好き。 [review][投票(2)]
★2続 夕陽のガンマン 地獄の決斗(1966/伊)マカロニ弥次喜多珍道中(コント集)。「珍」と「ガチ」のバランスが悪い。キャラクタの博覧会だけでは、私は逝けません。 [review][投票(2)]
★4ニューヨーク1997(1981/米)突然顔を出すゴージャス感(ガンエフェクト、キャスティング)と弛緩したB級真空的演出の落差が唯一無二の笑いを生む。「間」の悪さが天才的だが、批判を寄せ付けない「愛」のコク深く、最終的に漢気でつけるアウトロー的落とし前が熱い(ただし何がどうしてこうなったのかさっぱりわからない)。この「愛」を笑ってはいけないのかもしれない。ある意味卑怯。 [review][投票(2)]
★4ダージリン急行(2007/米)線路という定められた道がありながら迷子になる急行列車。すぐ迷う、すぐ止まる、降ろされる。狭くて逃げられない。しかし、脱落したとしても荷を捨てて全力で追いすがる者達には優しい速度。そして列車(人生)は確実に前に進んでいく。 [review][投票(2)]
★3バベル(2006/仏=米=メキシコ)いかにも大上段に振りかぶった表題と「風が吹けば何とやら」的な筋に、「”関係性”の罪と罰と救いの映画だよな」と念じつつ一生懸命目を凝らすも、つながりが半端で、そりゃ何もかもつながってるのも変だしこれがリアル志向なのかしら、となお血走った目を凝らすも、妙に美しいブランシェットピットのアスリート走り、菊地のガッツ、よく分からん撮影、底の浅い「異邦人」感等あらゆる違和感に幻惑され脱落した。 [review][投票(2)]
★5ライフ・アクアティック(2004/米)ウェス・アンダーソンの最も「個人的」な作品であり、それ故に2011年時点での最高傑作と評価していいだろう。「疑われた男」。血走った眼のズィスー(マーレイ)の拳銃が執念を貫くために火を吹く時、その顔がいくらトボけていようともその姿に監督が己を重ねていたとしても驚かない。そして、私はこの「照れまくる」男アンダーソンの「暴発」を最大限に支持する。「赤帽」のいかがわしさはかくして打ち砕かれる。 [review][投票(2)]
★4チェンジリング(2008/米)世界よ。「当たり前」であれ。 [review][投票(2)]
★4息もできない(2008/韓国)修羅的反面教師として生きる覚悟。でも死ぬ準備は出来ていない。その屈折した偉大と人間くさい矛盾。アンチ・バイオレンス映画の一つのカタチ。意外なほどユーモアが目を引く。 [review][投票(2)]
★4冷たい熱帯魚(2010/日)「巨人」か「迷える子羊」か。何だそこに着地するのか・・・って実話だから仕方ないのか。どこまで盛ってるか知らないですけど。マーラー?私は嫌いです。 [review][投票(2)]
★2ナチュラル・ボーン・キラーズ(1994/米)バレバレで自己陶酔しているだけのチンピラも、麻痺して踊らされるマスコミもカッコ悪いことこの上なく、この錯乱的事態への冷笑の先にこそ映画的物語を発現させるべきところを、問題提起したのみで放り出し「え?もしかしてマジなの?」と驚かざるを得ないほど底の浅い「社会派」にまず首を傾げる。狂気描写のマンネリを誤魔化すようなゴテゴテ奇矯な画が垂れ流される惨状にも嘆息。総じて浅く、ダサい映画である。[投票(2)]
★5ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢(2008/英)ドMマグロ天然ボケのウォレス氏に言葉を持たないグルミット君がツッコミを入れるためには、とにかく寡黙に忠犬スタイルを貫いて「アクション」するしかない。これほど「アクション」が雄弁なツッコミとして必然化する設定を愉しまない手はない。しかも観客からツッコむ暇だけは絶対に与えないというナンセンスのスピード感と漲る自信。至上の英国ド突き漫才アクション。魅力的過ぎる手触り。参った。怒濤と豊穣の30分。 [review][投票(2)]
★3ヒストリー・オブ・バイオレンス(2005/米)望むと望まざるに関わらず、暴力を「血」として内包しつつ綿々と続く世界。しかもそれを暗黙の内に了解し「忘却」こそが鍵になるというやるせない諦観。継承としての"History"の提示はノーカントリーの後に置かれるべき昏く真摯な現代性を持ち得るが、主体の出自が特異すぎて普遍的な寓意を獲得出来ず、だからこその"A History"であるのか、と、大上段から小手を食らったような拍子抜け。 [review][投票(2)]
★4ゼイリブ(1988/米)「(『タクシードライバー』―文学性―予算+愛嬌+天然+カーペンター汁)×B=『ゼイリブ』=ギリギリセーフなB級電波系ストレス解消アクション(主人公が単細胞なので真顔で社会派)」という複雑怪奇。 [review][投票(2)]
★3デンデラ(2011/日)因習の業の果て、冷炎の地獄(現世)に燃え上がる最後の炎。裁かれる「ヒト」、裁く「神」。血も涙もないカタストロフか、深遠なる神殺しのいずれに振れるかと期待を高める前半の構成は中々。境界を超越して真の闘士となる浅丘ルリ子の凛々しさもよい。秩序=倍賞美津子、破壊=草笛光子の寓意に溢れた対比的配置も効果的だが、だからこそ修羅としてのヒトと審判者の激突が不完全燃焼。神の見せ方が大人しすぎる。 [review][投票(2)]
★5第9地区(2009/米=ニュージーランド)シャルト・コプリーが汚物にまみれながら全力で連発する"Fuck!"を全力で支持する。アラはこの際関係ない。ところでコプリーの台詞がほとんどアドリブって本当なのか? [review][投票(2)]
★3子猫をお願い(2001/韓国)結局予定調和に着地する凡庸が、「自分探し」や「幸福」、「上昇」といった呪符とも呼ぶべき幻想に沈む青春の残酷を示すようで、どうにもひりひりと痛すぎる。下手に「幸せになろうぜ!」とか叫ばれるよりよっぽど真摯で好感が持てるが、こう客観的に思うのは私が当事者でなくなってしまった証でもあるようで、それがまた痛い・・・ [review][投票(2)]
★1シン・シティ(2005/米)ハードボイルドで内省的なモノローグ(「静」)とモンスターによる天誅アクション(「動」)の落差に活路を見いだすなら、感情の高まりに直結せずに無作法な「画」が垂れ流される「話法の不在」というこの究極の凡ミスをどう許せばいい。淡々と呟けば衝撃が増すという単純な世界ではない。こういう題材だからこそ理詰めで提示してくれないと乗れないのだ。編集一つでいくらでも輝くものを。怠惰。「告白」でも観て出直してこい。 [review][投票(2)]