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[コメント] アトミック・ブロンド(2017/米)

氷風呂。ウォッカのオンザロック。ワインクーラーの中の●●。クールに見せかけて燃えるように熱いというアイテムがロレインのキャラクタを説明している。そのマンガ的なあざとさを説得的にモノにしてしまうセロン女史の完璧さ。アイドル映画として十分なところブテラさんとの弩級の顔合わせで完全に鼻血案件化。
DSCH

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







脇も充実していて、これにゲイリー・オールドマン先生でもいれば個人的に役満。

室内格闘はさすがに『ザ・レイド』に遅れをとるものの、それでも見事。振り付け、撮影が殊勲賞もの。狭い室内で縦横なダイナミズムを演出していて見応えがある。あと、やはりセロンは演技に熱がこもるタイプの俳優で、目力もあり、素晴らしいと思う。

終盤のマカヴォイの「これはゲームだ」という独白。いわゆる第四の壁を破る性質の演出で、シナリオ上はもちろん虚実入り混じった諜報戦のことを指しているのだが、あくまでこれは虚構で遊んでいるんだ、自分達は映画のコマなんだというメタ的な意味も含んでいる気がする。少なくともこのキャストの中でこれを負って立つことが出来るのはやっぱりこの人だよなあ、と思わせる充実がある。(第四の壁といえばこの監督は『デッドプール2』の監督でもあります。この人の遊び方はなかなかセンスがあるのではないかと思います。)

ところで、中盤の映画館での戦闘シーンですが、タルコフスキーの『ストーカー』がかかっています。時期が一致しているだけで何かの暗喩だったり含蓄があるものでもないと思いますが、『キル・ビル』の青葉屋の殺陣と似た画面作りということもあって、スクリーンが破られた時にはクスッとなりました。タランティーノと言えば、『イングロリアス・バスターズ』でもほとんど頷いてるだけだったティル・シュヴァイガーが時計屋役で、やっぱり頷いてるだけなんですが妙にカッコいいところが個人的なオモシロポイント。挿入曲も一部重複しており、虚構に遊ぶことの徹底も含めて、なんか影響受けた世代なのかなと思いました。

あ、あと傘をデモ隊がバッと開くシーンが何だかカッコ良くて、おおっとなりました。この監督、なかなかいいんじゃないでしょうか。

(評価:★4)

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