コメンテータ
ランキング
HELP

DSCHさんの人気コメント: 更新順(8/22)

人気コメント投票者
★3ディパーテッド(2006/米)「ちょっと散歩に行ってくる」的風情で両手を血に染めて現れるニコルソン親父。ぶらり御大のトボケ顔や構図も相まって醸し出されるどす黒い笑い。この、血に退屈したキレキレ感には「有難や」と落涙して悦んだが、それ以外ほとんど印象に残っていない。テクは確かと思うが、「心」の面で突き抜けるものを感じない。もっとも、落下ショットは心技ともに傑出していたかもしれないが。 [review]おーい粗茶, ぽんしゅう[投票(2)]
★4タクシードライバー(1976/米)「あなたは歩く矛盾ね」。きれいはきたない、きたないはきれい・・・矛盾を平然と同居させるトラヴィスのグロテスクな「正義」。ネオンの色のように、内実をよそに、その評価は移り変わる。昼と夜、陰と陽、聖と邪、善と悪、いずれもどちらが「裏」でも「表」でもなく、不眠症の熱で潤んだ瞳の中で、ぐちゃぐちゃに混濁していく。その混沌は「街そのもの」でもある。 [review]3819695, ぽんしゅう, さず, jollyjokerほか6 名[投票(6)]
★4SUPER 8 スーパーエイト(2011/米)クソな大人の世界に純情で風穴を開け、ひょんな事件の破壊を経て再生に至り、少年達は大人になる。そして、世界はそこまでクソでもない。正直粗いが、コートニー&エルの突出が決定的で、マニュアル感から脱却。吸血もいいがメイクシーンのトキメキが最高でキュンキュンする。しかしタイトルの掘り下げは浅い。そこが悪い意味でスピルバーグ的。3819695, けにろん[投票(2)]
★4マジック・イン・ムーンライト(2014/米=英)厭世家が「恋」にとらわれるという掴みはベタでも、「恋は超常現象」とする語りが楽しく、ニーチェ信奉など細部とのギャップがいちいち可笑しい。撮影もノリノリで暖かい陽光の恋フィルタ全開、「超常現象」的マジカルビジョンを提示。何より「人生にはウソも必要でしょ?」という皮肉のない哲学の優しさが沁みる。主演は最高。ファースがベートーヴェン7番を勧める所が個人的にツボ。私も好きです。緑雨, ペペロンチーノ, ぽんしゅう, けにろん[投票(4)]
★4戦場のピアニスト(2002/英=独=仏=ポーランド)「音」に生きるしかないシュピルマンの過敏な「耳」に寄り添って観れば、戦争は人間的な音が歪められ、拡大され、遮断され、最後には死滅する風景として捉えられる。音が死にゆく過程の描写は「恐怖のミュージカル」。そして、音が、つまり生命が死んだ世界に抗うように響く「最後の音楽」。この状況下で、打算に基づいて感動することなど出来やしない。 [review]おーい粗茶, ダリア, ぽんしゅう, 煽尼采ほか6 名[投票(6)]
★5仁義なき戦い 代理戦争(1973/日)混迷が深まれば深まるほど、その愚行に注がれるエネルギーの大きさのグロテスクが際立つ。何のためかも大義も忘れ、ひたすら騙し合い、殺しあう。何故そんなに一生懸命なのか。もはや無常感に己の道を振り返る暇もなく、行き場をなくしたエネルギーが連鎖爆発する。怒りや哀しみを通り越して命の浪費を楽しんでいるような情念の徹底を前に、人間って不思議な生き物だという感想が浮かんだ。 [review]ぽんしゅう[投票(1)]
★3ファンタスティック・プラネット(1973/仏=チェコスロバキア)生態系の気色悪さや酷薄は先行する手塚先生の作品群(特に『火の鳥 宇宙編』)の二番煎じでしかないような気がするが、人間が「駆除」される(「虐殺」ではない)、というあっけらかんなテンションには開いた口が塞がらなくなる。圧倒的な力による排除はこういった滑稽さで表現されるほうがリアルなのかも。音楽が妙にオシャレ。寒山拾得, 3819695[投票(2)]
★2武器人間(2013/オランダ=米=チェコ)コンセプト画に唆られて観てしまったが、悉く悪い方向に予想を超えていく。冗談が真理を超える瞬間はない。ファウンド・フッテージの技法は演出・撮影下手の言い訳に過ぎず、クリーチャーも含め、まともなアクション演出はおよそ存在しないものと言っていい。もとよりZ級なので人造人間の悲哀など望むべくもない。この意味で、「フランケンシュタイン」を排した邦題は正解かもしれない。「ポッドマン」は哀しくて少し笑える。けにろん[投票(1)]
★2ドライヴ(2011/米)寡黙でカッコイイ、というよりもボーッとして愚鈍にすら見えるゴスリングに絶句。キャラのみならず彼を切り取るスローモーションや編集がまずい。で、こういう類型的キャラへの脱臼的批評性がある訳でもなく正攻法なのが苦しい。何度も街を俯瞰で撮りながら「街」を全く描けていないのもみみっちく、ジャンル的に致命的と思う。パールマンも不憫だが「マリガンは俺の嫁」的な戯言は一つ、弄しておきたい。かわいい。KEI, 3819695, jollyjoker[投票(3)]
★4不思議の国のアリス(1951/米)ブレインストーミング的に乱射されるキレた戯言が、突如ぞっとするようなフレーズを紡ぎ出す。「はじまりとおわりがひっついた〜」「生まれなかった日に乾杯!」etc。時計(理性?)を破壊するシーンの恐怖感が輪をかけて快感。もちろん原作の力だが、明るい狂騒演出に妥協なく徹して深淵をのぞきこむ、ディズニーの「ドラッグムービー力」の高さに感嘆。落下しながら「心配ないわ〜w」と手を振るアリスがクレイジーで萌える。寒山拾得[投票(1)]
★5ウエスタン(1969/米=伊)全てが是「演出」の映画。含意などほとんどどうでもいい。一つの頂点であることは間違いないだろう。圧倒的没入感。一種の自己陶酔映画の極致。これぞ娯楽映画。モリコーネの「演歌」は必聴。 [review]でん, けにろん, ペンクロフ, ぽんしゅうほか7 名[投票(7)]
★2ジョン・ウィック(2014/米=カナダ=中国)身の丈なりに生身で頑張るのが健気だが、物語が求める水準と乖離しており不憫。伝説などと大上段に振りかぶっているが「腕が落ちてね」なる台詞が笑えない冗談に。コレがレジェンドなら『ザ・レイド』の下っ端などは何と評されるべきか想像もつかない。機知も非情さも飢えも乏しく、デフォーすら盆暗に描く無礼と下着姿で狙われるキアヌ、字幕強調のセンスの悪さなど呆然ポイント多数。車を用いた「格闘戦」は若干新鮮。アブサン, けにろん[投票(2)]
★4電人ザボーガー(2011/日)鼻が詰まったような主役の発声など開幕は微妙に感じたが、意外や業が業を呼ぶ骨太展開と、まともにやれば『ブレードランナー』もかくやという生命SFのモチーフに驚き。そしてまともにやらないという驚き。それが原作通りである(らしい)という更なる驚き。しかもどれも本気らしく、確信に満ちたバカのキレが良い分、職安等でのセルフツッコミが惜しい。もっと脇目も振らず突っ走るべきだった。柄本大先生が素晴らし過ぎる。けにろん[投票(1)]
★3ミザリー(1990/米)「希望」が僅かに残される距離感が醸す隔靴掻痒の狂おしさ。愛も憎も狂的であることに変わりない紙一重という説明の簡潔さと、愛と憎の両極を瞬間移動するベイツの瞬発力。そして、事は全て「ハーレクイン」(愛の安売り)に起因するというむなしい滑稽さ。絶望的ストレスの蓄積の果てに笑うしかなくなる。素材はいい。素材は。 [review]週一本, ぽんしゅう, けにろん[投票(3)]
★4復讐者に憐れみを(2002/韓国)苛烈であるが故に、もっとも反語的に道徳的な映画のひとつ。因果応報を「100%」と断定するチャヌクの演出にはケレンだけでなく厳しさも貫かれている。血まみれの、やさしい世界に憐れみを。優しい悪魔たち。 [review]おーい粗茶[投票(1)]
★4英国王のスピーチ(2010/英=豪)風土的歴史的素地の相違は脇に置いて、単純に、ちょっと特殊なだけの小さな物語として観た私は完全にやられた。主演3人の鉄壁布陣の滋味深い応酬だけでも鼻血が出る。劇伴の反則技にも目を瞑る。「セラピー」を意識したカメラなどの小技も奏功。何より嬉し恥ずかしなヘレナファースの交歓に理性が崩壊。 [review]死ぬまでシネマ, ゑぎ, サイモン64, 煽尼采ほか6 名[投票(6)]
★2ジョン・ウィック:チャプター2(2017/米)誰か「お家に帰るまでが暗殺です」と諫めてあげる人はいないのですか。戦略性皆無ならそれをカバーする正面突破の説得力もない、機械的なモグラ叩き。因果の鎖の物語に、思慮も覚悟も、カケラもない。 [review]けにろん[投票(1)]
★4ゾンビ(1978/米=伊)「生きている死者」なのか、「死んだように生きる生者」なのか。曖昧になった境界からの目覚め(dawn)。zombieという邦題ではこの主題が見失われてしまうだろう。これはliving dead「生ける屍」の物語である。印象に残ったのは痛々しく冷え切った男女関係。生ける屍になりたくない女と、生ける屍になった男。 [review]けにろん, , ゑぎ, Myrathほか6 名[投票(6)]
★4イット・フォローズ(2014/米)子どもの頃、廊下の隅や電灯の付いていない部屋、鏡の奥が怖かった。多くの子どもが感じるだろうこの漠然とした、まだ何とも説明出来ないが、そこに在ることだけはわかる、死や闇に対する原初的で潜在的な恐怖。ナニとも説明されない「アレ」の象徴性の器を介して、これが呼び覚まされた。笑って観るつもりだったのに思いのほか怖くて狼狽した。トイレ怖くて行けない、、、 [review]おーい粗茶, 袋のうさぎ[投票(2)]
★5風の谷のナウシカ(1984/日)ウチでは何かが腐ると「腐ってやがる・・・早すぎたんだ」「焼き払え!」と口にするのが習わしになっている。余談はさておき、口にすれば分かるが、前者は実に変な台詞なのだ。しかし、優れたSFには必ず、その世界でのみ圧倒的なリアルを発散する台詞が登場する。これだけの世界観の充実に神業的演出をかぶされると、マジで漏れちゃう。 [review]寒山拾得, 緑雨, けにろん[投票(3)]