[コメント] 嫌われ松子の一生(2006/日)
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『下妻物語』で味を占めた中島哲也監督が送り込む次なる映画的アプローチはディズニー的ファンタジー喜劇描写。もうオープニングのあの字体から終始その手の笑いに誘われる。
でも、この映画のいいところは喜劇を装う悲劇であるところ。つまり原作を着色した脚本のその「装い」を楽しむ映画であるとおもう。
松子の人生はどこまでもどうしようもないほど悲劇だが、ある一つの魔法の武器(ここらへんのファンタジー喜劇プロットの利用は流石!面白い!)を持っているためずっと喜劇的であり続ける。
人生のその先々で出会う人たちもそれをずっと追う瑛太(役名忘れた)も松子と松子の最終兵器と出会うことでそれぞれの悲劇の中に喜劇的に乗り越える術を見つけるラスト。これがすごくいい。
松子を殺した真犯人たち、今後の中島哲也監督作『告白』への複線か。いずれにしてもこの時点で徹底した現代の社会的悪を意識していたのは明らかであり、また撮り方が面白かった。
最初の木村カエラからはじまりアーティストがたくさん出ていて現代のミュージカルという感じがして面白い。前作からの土屋アンナをちょい役出演させるのも面白い。それにしても中谷美紀とボニーピンクの相性がここまでいいとはビックリ。
せっかくなら最後エンドロールでボニーピンク×スカパラでミュージックビデオ風のパラレル映像が流れていたらそれはもうアガる映画になっていたに違いない。
それにしても日本の現代比喩を描いた大作。間違いなく名監督の仲間入りを果たすに至った中島哲也の決定打。
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