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[コメント] アメリカン・ビューティー(1999/米)

キャプテンアメリカ、スーパーマン最大の敵。それは今作のケヴィン・スペイシーである。
シオバナカオル

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







レンタルDVDのコーナーでは、これはコメディのコーナーにある。

当初これはコメディではないと思ったのだが、アメリカの主観になってみると、こういった日頃とのギャップで追いやられた感情の置き場たちが発する一種の異常性を「美しさ」と揶揄しジョークとしてコメディ化してしまったのだとしたらたしかに物悲しく笑える。

ケヴィン・スペイシーの顔がとにかく印象的で、この世界のなかで過ごし浸かってしまった者が得てしまった表情をしている。つまり疲弊しているアメリカの象徴である。

これがアカデミー賞を多数受賞したというのもアメリカのか弱さを見せる象徴的な意味があるように思う。欧州の芸術的な造的な「美」でもなく、北欧の呪術的な涼しげな「美」でもなく、日本の無常観に対応しうる「美」のような、アメリカなりに「美」を探したとき、それは日常の一瞬の心のズレであった。それを切り取り表現したようなそんな気がした。

総じて非常にアメリカっぽくない、アメリカの美しさが文字通りできあがっている。

(評価:★5)

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