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[コメント] ムーンライト(2016/米)

今年度はアカデミー賞も異例のハプニングで騒がせてくれましたね。恐らくスタッフ陣は大目玉でしょうが、何はともあれどんなきっかけでも本作を見てくれる人が増えたら嬉しいことですね。
deenity

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







本作は三部構成でシャロンという人間の幼少期・少年期・青年期の成長を描いた作品。同じ人物を別人が演じているため、章が移る度に「これがシャロンか?」と疑問に思う部分もありましたけど、同一なんだと気付くポイントは目でしたね。どことなく闇を持った感じ。見事な配役です。 それに加えて作品全編を通してほとんど黒人しか登場しないのも特徴的ですが、その黒人の映し方も見事でした。作中にも言葉がありましたが、どこか青みを帯びた黒い肌は彫りや艶みたいなものが強調されていて、逞しさを感じました。

テーマとなるのは黒人問題はもちろんのこと、加えてドラッグ・いじめ・ジェンダー・ネグレクト等、現代で抱える問題が多数内包されていて、今見ておくべき映画だと思います。

どれか一つとっても作品が一つできそうな所をシャロンの周りでは全てが起こっていて、その渦中の中を必死に生きようとする。ひどいいじめを受けるのだがその原因はオカマっぽいという点にあり、幼い頃から続くのにそれを守るべき母親はヤクに明け暮れネグレクト状態。「僕はタフだ」なんて言っていたが、相当に辛い毎日を送ったはずだ。

そんな中で出会う二人の人物。フアンとケヴィン。彼らはシャロンに心を開く。フアンもケヴィンも同時系列でのことではないが、どちらも海でのシーンは素晴らしい。間違いなくシャロンの支えになったシーンのはずだ。しかし、そんな真人間に思えた二人ですら裏切られるような経験をし、本当の意味で何を信じていいかわからない現実。

青年期は今までとは打って変わってムキムキの男に成長。もはや誰にもいじめられそうにない体つき。でも鍛えたのは表面上。どれだけ強く見せても、内面に潜むのは弱い自分。

正直、自分はこの青年期のシーンが一番受け入れられてないです。再び再開するシーンとかも「都合いいんだよ」って思っちゃう部分があって。少年期まではぐんぐん食い入るように見入ってたのに。シャロンに対して感情移入し過ぎたのかもしれません。自分だったら許せないかもしれないから。 でも数多ある問題に対して、許せないという気持ちでいたら差別や排他的な感情ってのはなくならないでしょうね。まだ自分はわかってないのかもしれない。自分とは遠いことなんだ、関係ない部分だ、と思っているのかもしれない。しかし、それではいけない。この現代に生きていく以上、うわべだけの同情だとか差別反対とかじゃなく、真っ向から向き合わなければ。

(評価:★4)

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