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[コメント] ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密(2019/米)

久々の極上のミステリー作品であり脚本の素晴らしさもさることながら、ラストの構図が抜群にいい。
deenity

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







なんか見終えて気持ちがいい。久しぶりに王道ミステリー作品を見たなって感じがします。

ゴールデングローブ賞にノミネート。アカデミーでは脚本賞にノミネートされてますね。まあ受賞とかははっきり言って他が強すぎて難しいだろうけど、でもこの作品が悪いわけではなく、むしろ王道ミステリーで久しぶりに楽しかったなって気分です。

その最たる要因がこの豪華キャストによる個性的なキャラクター像ですね。クリストファー・プラマーアマ・デ・アルマスクリス・エバンストニ・コレット。結構好みの俳優たちがそれぞれの個性を出し合い、キャラクターが確立してきます。序盤こそ様々な証言の多さに少し置いてきぼりをくらいましたが、追いついてからは各々のキャラと演技でウキウキしていました。 ただ、中でも圧倒的だったのが探偵役のダニエル・クレイグですね。まじでかっこいい。あの話している相手を表情一つ変えずに見つめる眼光。夜の暗闇の中でライターの光と共に映し出される渋い容貌。惚れます。あのかっこよさは尋常じゃないですね。彼を見るためだけに『007』見たくなるほどの破壊力だったと思います。

脚本のことに触れるのでここからはネタバレになっていきますが、やはり本作は脚本が見事です。と言うのも、今回の事の発端であるミステリー作家の死の成り行きがかなり終盤を残しているのにはっきりと示されてしまうわけですね。 これは実に意外でしたね。逆にそれこそがミスリードではないかと疑ってしまうほどあっさりと。もちろんその後の展開で真実はまだ隠されているわけですが、ここからまさかの家政婦のコメディサスペンスみたいな展開に突入していくんですね。自分のしでかしてしまった証拠を何とか必死に隠そうとするのに、本人は嘘をつくと吐いてしまうという欠点を背負っていて、前半とはまた違った楽しみ方もできるわけですね。

ただここからが脚本の腕の見せ所で、ドーナツの穴の穴まで真相を明かしていく様、そしてオチの付け方は実に見事だったと思います。ただの種明かしにするのではなく、しっかりとコメディ要素も絡めた上で落とす辺りは本作の秀逸さが光っていたポイントですね。

そしてラストの構図は天晴れとしか言いようがないですね。家政婦マルダをいかに表面的にだけ可愛がり、心の底では見下していたかが露わになり、そういった連中を一斉に見下ろす構図。そしてそれを眺めながら「my house,my rule,my coffee」はたまらなくcoolなオチでした。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)たろ[*] けにろん[*]

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