目が見えない吉岡里帆VS猟奇的殺人犯のサスペンス作品です。 Ｒ指定にされるほど過激なシーンが含まれるため、元ネタはあるとはいえ結構攻めた作品ではありました。多少平気ではありますが、あのスイカ割りのシーンはさすがに顔が歪みました（笑）

面白かったのはやはり目が見えないのに目撃者であるという設定でしょう。だから証言の信憑性だったりチェイスシーンの緊迫感だったり、本作ならではの見所はそういう所でしょう。

主人公の吉岡里帆は元々目が見えなかったわけではなく、事故による後天性のものであって、元の世界がどのような世界かはイメージできます。元警官ということを差し引いてもさすがの推理力を持っているわけで、彼女のハンデが逆にプラスの能力にもなるというのは面白く、またシンプルなチェイスにも力が入るということも鑑みると、この設定の大勝利だなとは思います。 ただいかんせんその研ぎ澄まされた聴覚や嗅覚を今使えよ、ってタイミングでは発揮されなかったりして、設定が優れているが故に難しくなる部分も感じました。

とは言えあのチェイス劇はなかなかです。見えないからこその指示による追いかけっこ。やたら周りに人がいなさすぎるのは無理があるとは言え、待ってましたと言わんばかりのドヤ顔で待っているところに向かっていくシーンは嫌な緊張がありました。

基本的に前半パートはよかったです。身近なところで起きる事件っぽい設定が妙にゾクゾクしたし、神格化したらそれっぽい猟奇殺人に見えるでしょって設定こそ気になりましたが惹かれたことは事実ですし、それを推理していき一本の答に辿り着くあたりのミステリー要素はなかなかだと思います。

しかしやはりあからさまに違和感を抱くところは伏線だったりするし、最後の攻防は無理があるでしょって思うシーンの連発。役者陣の演技はよかったですし、吉岡里帆は頑張ってたと思います。個人的には國村隼の語りはゾクッとくる渋さがあったのでさすがの一言ですね。楽しめたのは事実なので満足ですが、惜しいとも言える作品でした。