寒山拾得さんのコメント: 更新順
すべての革命はのるかそるかである(1977/仏) | 私服での朗読大会の初作。「のるかそるか=賽子一擲」と冒頭字幕。告発型のエセーに近く、朗読しているだけなのにキリキリと締め上げるような調子があり、難解の代表の衝突は意外と気持ちがいい。 [review] | [投票] | |
フォルティーニ/シナイの犬たち(1976/伊) | イタリアのユダヤ人コミュニスト詩人による、大戦中の回想とパレスチナ問題への意見表明。後者は大人の意見、「完全なる真実は相対性のなかにある」。 [review] | [投票] | |
モーゼとアロン(1975/仏=独=伊) | 現場主義により描かれたシェーンベルグのオペラ。「出エジプト記」の有名な件で、登場人物も少なくて判りやすく、杖が蛇になるみたいな描写も散見され意外と娯楽作。不協和音満載の現代音楽がさすが元祖の格好よさ。 [review] | [投票] | |
アーノルト・シェーンベルクの映画の一場面のための伴奏音楽入門(1972/独) | ただ告発だけが叩きつけられる、ストローブ=ユイレのエッセー映画、短編スタイルの嚆矢。シェーンベルクが友人カディンスキーたちのユダヤ人差別を切々と非難する。「侮辱は厭だ!」 [review] | [投票] | |
オトン(1969/独=伊) | 地縛霊、精霊を呼び出す現場主義史劇の初作。演じられるローマの廃墟から見下ろされるクルマの行列を、映画は隠そうとせずむしろ積極的に画面に取り込む。これこそが精霊だと示すかのようで、観客は古代と現代をまたぐ処に強制的に遍在させられる。 [review] | [投票] | |
花婿、女優、そしてヒモ(1968/独) | 風景描写(初)、演劇(初)及び劇映画から成る短編。ストローブ=ユイレ映画のショーケースで、その後ふたりは劇映画を殆ど捨てて風景と舞台に傾注するのだった。 [review] | [投票] | |
妥協せざる人々(1965/独) | ベルの長編小説の「圧縮再構成」の名場面集で、純粋に強度のみが問われ、筋は全く追われず小説を読んでいないとまるで判らない(読んでいても判らないらしい)。本作だけはぶっ飛び過ぎ。古典的にアクション満載なモノクロ撮影も含めて過渡期の作品の印象。 [review] | [投票] | |
マホルカ・ムフ(1962/独) | ストローブ=ユイレの天衣無縫の始まり。どの作品にも溢れ出る知性は難解だが、同時にとてもシンプルなものだ。本作は普通に撮った唯一の劇映画で、攻撃対象はこいつらだとキャリアの冒頭で宣言している。 [review] | [投票] | |
デデという娼婦(1948/仏) | 早朝から早朝への物語は港町の男と女の非情を描いて中の上の出来だが、ラストが生々しく鮮烈で一気に前のめりにさせられた。フレンチ・ノアールを準備したシークエンスに違いない。得点はラストに捧ぐ。 [review] | [投票] | |
情熱なき犯罪(1934/米) | 見処は奇矯な撮影美術か。当時どこまで新しかったのか判らないが。話はサイレント期によくあったシニカルな教訓劇をまだ撮っている具合で平凡。だから名脚本家の監督失敗ではなく、脚本自体が振るわなかった。 [review] | [投票] | |
カンサス騎兵隊(1940/米) | 仕方のない奴隷制度賛美映画でアメリカ史の基礎資料の趣。トランプが云う「古き良きハリウッド映画」の筆頭格だろう。デ・ハヴィランドとロナルド・レーガンの政治共闘も見たいものではない。 [review] | [投票] | |
女たち(1939/米) | ロザリンド・ラッセルが最高に可笑しい。特にジョーン・フォンテインとの喋りまくる美容体操の件は、何かが憑依しているようなコントで狂気じみている。なお、全員女性にするならOPのレオ・ザ・ライオンもメスにするべきだったと思う。 [review] | [投票] | |
都会の牙(1950/米) | 怪奇大作戦みたいなノリでそれなりに愉しめる小品。個人的に見処はクラブでのジャズ演奏で、登場する黒人ミュージシャンは無名のようだがビ・バップがやたらとアツい。聴き狂っている客がいるのも当時のリアルなのだろう。 [review] | [投票(1)] | |
ハイティーン・ブギ(1982/日) | 冒頭から暴走族の抗争、日の丸鉢巻で旭日旗振り回すブラックウルフに立ち向かう三原順子。今なら敵方に所属するのだろう。みんなヘルメットかぶっているのが真面目。 [review] | [投票] | |
汗(1930/日) | なぜか主演している島耕二の王子と乞食。豪勢な富豪振りで、某麻生太郎の本宅も2万坪あるらしいが、丁度こんな具合に威張り散らすのだろう。映画は傾向映画というには労使協調路線。見処は滝花久子なんと23歳いい愛敬。 [review] | [投票] | |
怪奇 江戸川乱山(1937/日) | 製作今井映画。出演者は戦後に新東宝に流れた人が多いようだが似たタッチ。手前の蜘蛛の巣からピン送りして奥には軟禁された娘、みたいな。鼈甲お藤の泉清子の姐さん振りが素敵。 [review] | [投票] | |
海の神兵(1945/日) | 内容はさておき形式はよく頑張った、と云うには大いに抵抗を覚える内容。鬼畜米のディズニーの模倣とは時局柄大胆、という擁護の仕方はアリなのだろうか。桃太郎はアップになるとイジワルそうである。 [review] | [投票] | |
斬人斬馬剣(1929/日) | ヤンキーのように笑う月形頼もしく、チャンバラの最中に蹴りも入れる殺陣の出鱈目さ。「何のために俺を斬る」「飯のためだ」「飯は何で作る」「飯は米で作る」「その米は一体誰が作るのだ」。断片のみ残存。全部観たい。 [review] | [投票] | |
上海バンスキング(1984/日) | 『蒲田行進曲』は貧乏を撮って華やかだったのに、本作は演奏風景など華やかに撮っているのに貧乏臭い。なぜだろう。「中国人と犬はお断り」の公園看板は他の映画の引用だが、何だっただろう(含『蒲田』のネタバレ)。 [review] | [投票] | |
殺人に関する短いフィルム(1987/ポーランド) | 前半はショートコント集の趣がある。運転手ヤン・テサシが待ち客捨てての遁走とか、野良犬に与えるサンドイッチとか、青年ミロスワフ・バカが橋の欄干から石落としたら下で車のクラッシュ音がするとか。 [review] | [投票] |