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寒山拾得さんのコメント: 更新順

★5青春祭(1985/中国)思想改造のため下放された村は享楽的な土地柄で、主人公は文化の違いを体感する青春祭を過ごす。これもまた文化大革命への抵抗の物語だろう。ニューシネマの方法で撮られた雲南省のタイ村は美しく、魔法使いのようと云われる90歳のお婆さんの佇まいが愛おしい。 [review][投票]
★4萬世流芳(1943/中国=日)抗英映画として製作されたのに中国では抗日映画と解してヒットしたと云われる本作、これを知らずに素で観ると抗英映画でしかない。観客のテキスト解釈が生産的に機能した好例として、本作は尊ばれるべき作品なのだろう。 [review][投票]
★4木蘭従軍(1939/中国)木蘭(陳雲裳)は登場早々はとても魅力があるとは見えないが、戦闘中に貫禄がついてどんどん好ましいキャラになり、最後には愛すべき魅力に溢れている。これこそが演出の力だと思われた。 [review][投票]
★3深夜の歌声(1937/中国)カリガリ』ほかの名作同様、21世紀の目にはB級に見えてしまう昔のホラーの範疇に本作も収まる。当時は怖かっただろう。本質は革命劇で、余り成功しそうにないのがかえって心に残る。 [review][投票]
★3十字路(1937/中国)たぶん『在る夜の出来事』の影響大きい無茶苦茶前向きな物語。趙丹の部屋に置かれたミッキーマウスは、初期小津映画のハリウッドのポスターと連動するものがあるだろう。すでにキスシーンがある。 [review][投票]
★5女神(1934/中国)ナルセよりナルセらしい淡々として落ち着いた演出、そこから飛躍する一瞬の脚力の冴えが素晴らしく、阮玲玉の零れるような微笑みが忘れ難い。筋は平凡ゆえに価値高い。 [review][投票]
★5大いなる路(1934/中国)これは中国の『有りがたうさん』(36)だろうか。路上の世界、悲惨をものともしない、陽気を鼓舞する生き生きとした極めて独特のタッチ。言外にとても多くのことを語る傑作。 [review][投票]
★3わが恋わが歌(1969/日)芸術なかりせば廃人の万葉エロ爺吉野秀雄による同時代の性映画への同伴。八千草薫と涙の同衾ほか、弾けないのが独自の味だろう。『今日もまたかくてありなん』とか『赤い陣羽織』とか、映画の中村勘三郎は奇怪な役ばかりだ。 [review][投票]
★3日も月も(1969/日)庭だの書画だの襖絵の白鳥だのが曰くありげに描写される辺りが川端康成のノーベル賞なのだろう。56億7年万年後の弥勒降臨まで救われないマゾヒズムの他力本願が、江ノ電脇で同居する久我美子にしんねりと具象化される。[投票]
★3爽春(1968/日)28歳で結婚する気ないわと手酌する岩下の戦争挟んだ腐れ縁が湿気多量に描かれる一方、脇筋の生田悦子の新時代謳歌するハイテンションがもの凄い。彼女の代表作だろう。この奇怪な組合せが中村登の持ち味なのだろう。[投票]
★4夜の片鱗(1964/日)ヒモつき街娼の詳細な記録だけでも観せるが、平幹二朗の没落による二重底の構成がさらに主題を炙り出して素晴らしい。桑野みゆき強姦の件は極めて冷淡、立ち会う文太が『人斬り与太』を予告しているのだが、こちらの方が残酷である。 [review][投票]
★3二十一歳の父(1961/日)奇怪な人物を一名参入させる中村登印。本作は勝呂誉で、学生なのに金貸しして教室でチャンバラしてスカートめくりに至る奇怪なキャラは、渋谷実の大失敗作の影響に違いない。息子ふたりに揺れる山形勲の哀愁で纏めればいい小品なのに、飽き足らないのだろう。[投票]
★2春を待つ人々(1959/日)パージ解除の佐分利信の国政選挙噺。沢松勉の戦中右翼節が期待されたが、戦後巧くやった奴は嫌いらしくフツー。その他はオールスター映画らしい摘まみ食い連発、テーブルひっくり返す田村高廣高橋貞二のメロドラマも唐突で失笑もの。[投票]
★4結婚式と赤ちゃん(1958/米)「結婚式と出産」専門のカメラマンがドキュ映画を志望する話。カサヴェデスが影響を受けたらしいが、上手く行かない男女を描いて正にカサヴェデス好み。基本コメディのなかコメディ的人生を疎ましくも憐れむ視線が累積される。 [review][投票]
★3恋人たちとキャンディ(1956/米)再婚に向けたお付き合いの男女と、女の娘との三角関係。断片は愉しいが全体には印象薄い。 [review][投票]
★5小さな逃亡者(1953/米)大人は判ってくれない』や『赤い風船』の偉大なる先行作らしいけど、単体で観ても気楽に愉しい。キートンばりのコニーアイランド、積み重ねられる小さなユーモアが粒ぞろいに面白い。子供は面白い。 [review][投票]
★3満州帝国崩壊 ソビエト進軍1945(1982/露)秋のマラソン』戦場版みたいな詠嘆ばかりの群像劇。連作の第二作のせいか各断片の彫りは浅いが、生き残るために闘うモチベーションがハラキリ思想と対照されている点で一本筋が通っている。内モンゴルの描写が面白く、戦闘シーンはソ連映画らしく闇雲に盛り上がる。 [review][投票]
★1新雪(1942/日)将来の欠乏に耐える肉体を作るのダと国民学校の新教育方針「皇国民の錬成」を説く坊ちゃん風教師水島道太郎山口勇をチャーチルと呼んでぶん殴る。五所も藤沢恒夫もこんな好戦作を物しているのだった。女は黙って待っている月丘夢路の馬鹿馬鹿しいロマンス付。[投票]
★2命の港(1944/日)港湾荷役のワーカホリックが何が愉しいのかよく判らないまま愉し気に延々描かれる『一番美しく』系列の宣伝映画。腹痛で休みたいという仲仕をぶん殴ったりする班長長谷川一夫が痒いほど善人に描かれ、「夜を徹して死闘」などという字幕が踊る。[投票]
★2私の鶯(1944/日=中国)ハルピンに大量避難した白系ロシア人という題材は興味深いのだが、難民受容の精神を本邦の昨今の有様と比較してみよう、といった知的好奇心をまるで喚起させてくれない凡作。満州プロパガンダと産みの親育ての親の物語類型しか残らず、島津らしい繊細さの欠片もない。製作岩崎昶という冗談が笑える。[投票]