寒山拾得さんのコメント: 点数順
嘘をつく男(1968/仏=伊=チェコスロバキア) | 『マリエンバート』の主題が突き詰められ、客観性を担保する足場は次第に相殺され、映像と科白が自らの正当性を主張して対立する瞬間が錐揉み状態で継続し、しかも単純に面白い。 [review] | [投票] | |
セブンス・コンチネント(1989/オーストリア) | ひとつの極端を描いて針が振り切れており、呆気にとられる。レニ・タンツァーの可愛い娘さんが曰く云い難いアクセント。 [review] | [投票] | |
バービー(2011/韓国) | 主題の固有性もさることながら、韓国リベラルの対米批判はこれを隠喩として箆棒な膨らみを背負っている。星条旗への告発として『旅芸人の記録』と並び称されるべき傑作。この天才子役のフィルモグラフィーは何というハードさであることか。★6級。 [review] | [投票] | |
ともだち(1940/日) | 見事に決まったナンセンスがそのまま友愛を謳って心に沁みる。朝鮮総督府鉄道局映画の限界は明らかだが、そう云わせない力がある。チャップリン短編の最高傑作に比肩する、稀に見る美しい映画。 [review] | [投票] | |
青春を返せ(1963/日) | よく考えれば余りにもド派手な収束に向けてテンション急上昇するトンデモ映画スレスレ作なのだが、違和感がないのは生真面目な描写の真摯な積み重ねがあるからだろう。裁判とは頭を下げて回ることなんだ。 [review] | [投票] | |
台所太平記(1963/日) | 俳優の技量と撮影編集の技巧で笑わせ続ける理想的な喜劇映画。京塚昌子と淡路恵子が物凄すぎて、部屋で立小便する乙羽信子が地味に見える。 [review] | [投票] | |
恥(1968/スウェーデン) | 想像された内戦は我々には神と悪魔より切実であり、非キリスト教圏の観客は本作である意味始めてベルイマンに出会うのではないか。具体性を帯びた悪夢の連鎖は次第に喜劇じみてついには宙に放り出される。 [review] | [投票] | |
喜劇 女生きてます(1971/日) | 河原者直系のアジールという森崎固有の理想世界運用篇。画面の端でふくれっ面を続ける佐々木梨里に至るまで全てが躍動している。 [review] | [投票] | |
夏の遊び(1951/スウェーデン) | 鬱の感染を語って底無しのペシミズム。ゴダールがこれ好きとはそのまんまである。 [review] | [投票] | |
集団奉行所破り(1964/日) | 『黄金の七人』系列としても単純に愉快な活劇だが、収束に至ってこれは反転せられ、真面目な仏教因果譚と判明する。お見事。 [review] | [投票] | |
硝子のジョニー・野獣のように見えて(1962/日) | 芦川いづみのジェルソミーナ。国宝級。なぜ国宝にしないのか。体感では鑑賞時間は15分。終わってくれるなと祈りながら観た。 [review] | [投票] | |
黒い太陽(1964/日) | 河野典生と蔵原惟繕・山田信夫コンビの相性は抜群。はぐれ黒人兵へのシンパシーを手探りする本作も快作、見事なアメリカン・ニューシネマだ。何よりモノクロ撮影が素晴らしい。 [review] | [投票] | |
狂熱の季節(1960/日) | ハードボイルド系ナンセンス落語。本邦ヌーヴェルヴァーグの筆頭格な傑作。 [review] | [投票] | |
ユンボギの日記(1965/日) | オーシマとは信じられないこの率直な詩情は、日本を撮った変態映画群と余りにも好対照 [review] | [投票] | |
最後の人(1924/独) | 映画史でも早いもの勝ちということがある。ラストの混乱は期待の地平を逸脱して抜群にカフカ的であり、以降この手法は本作の二番煎じと呼ばれるだろう。お仕着せ着たエミール・ヤニングスは明らかに「変身」の父親だ。 | [投票] | |
怪談累が渕(1957/日) | ベストアングルを求めて彷徨うミゾグチ直系のキャメラが冴えまくり、沼に佇む若杉嘉津子のショットにジャンルを超えた尊厳がある。話の不条理さも天井級。 [review] | [投票] | |
橋のない川(一部・二部)(1969/日) | 一部は『キクとイサム』『にっぽんのお婆あちゃん』と並ぶ北林谷栄の傑作、二部は突撃米騒動の伊藤雄之助の傑作。アクションで語る今井、最後の輝き。 [review] | [投票] | |
サザエさん(1956/日) | らしい小ネタ満載のなかあちこち突進し続ける江利チエミの麗しいこと。陽気な役処で魅力全開、なんでこの人がスタアだったのだろう、時代の不思議が詰まった傑作。 [review] | [投票] | |
女猫(1958/仏) | 『女と男のいる舗道』じゃないか。冒頭のアルヌールがいつの間にか潜入させられてしまう語りのまあ巧いこと。そして見事なラスト。 [review] | [投票] | |
たまもの(2004/日) | 林由美香のひとりチャップリンが秀逸。『街の灯』に伍する切なさに溢れており、しかもそれだけでは終わらない。★6級。 [review] | [投票] |