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寒山拾得さんのコメント: 投票数順

★5さようならCP(1972/日)面白半分か過度に感傷的にしか垣間見られなかった障碍者の世界を挑発的に提出し断絶を強調する。彼等が路上にいてなぜいけない、同質的な光景は虚構だ、芸能とは本来アブレ者の世界だと示して明快、ある種の観客は本性炙り出されてにわかに座敷牢の主になり隠せ隠せと怒りはじめる。 [review][投票]
★2哥(1972/日)失われゆく自然を護るのは封建社会の大地主という屁理屈でもって実相寺の右旋回は続く。だいたい哥がなんでヴィヴァルディなのだろう。掃除マニア篠田三郎の造形はメルヴィル「バートルビー」の詰まらないパクリ。見処は好色に走る桜井浩子。 [review][投票]
★4鉄砲玉の美学(1973/日)この腰砕けな展開の素晴らしいこと。凡百の「胸のすく」ドラマを転覆させて殆ど純文学。増殖する兎に喰い尽くされる精神において『仁義の墓場』(75)と正に兄弟作で、肥えた吉行和子みたいな森みつるが印象深い。 [review][投票]
★4修羅雪姫 怨み恋歌(1974/日)私刑されベスト菌打たれ放火されて犬猫墓地に葬られる明治の御代のアナキスト。梶芽衣子が代表したものは藤純子とは真逆だった。現代劇の軟体的な敏八らしさはなく竹を割ったような作劇。カット割らずに顔アップをパンで繋ぐキャメラが格好いい。 [review][投票]
★2卑弥呼(1974/日)王権対山人の対立は興味深いが生煮えで、卑弥呼は卑弥呼というより西太后。前衛パフォーマンスも『テオレマ』風ロケも頑張っているけど、失礼だが気の毒なほど構図の才がなく退屈地獄。古典的な構図を否定して平板に撮るのが当時の前衛気分だったのだろうか。 [review][投票]
★4沖縄やくざ戦争(1976/日)米軍横流し兵器まで導入される殴り込みが振り切れておりほとんど戦争映画、混線する終盤がもの凄い。千葉ちゃんのヤマトンチュー嫌悪に深掘りがあれば名作だったはずで不足感が残るが、そんな人物もいたんだという詠嘆は深い。 [review][投票]
★1白昼の死角(1979/日)演出から劇伴まで安い躁鬱病系で、基本シリアスなのに剽軽になったりメロウになったりするのが観客を小馬鹿にしているようでゲンナリさせられる。こういうのは優作映画ではキャラに上手くハマったものだが夏木勲には全く不似合い。二時間半の退屈地獄。 [review][投票]
★3迷走地図(1983/日)素晴らしかった前作『疑惑』に遠く及ばぬ出来。渡瀬恒彦寺尾聡も造形に熟度がなく、あの桃井かおりの素晴らしい悪役振りと比較するレベルにない。耐える政治家の妻岩下志麻はさすがだが、そっち頑張っても仕方ないだろうにと思う。 [review][投票]
★5生きてみたいもう一度 新宿バス放火事件(1985/日)被害者と犯人が通い合うヘヴィーな物語をヘヴィーなままに語る反骨。だである調が男前な桃井のさばさばした造形素晴らしく、情けない石橋蓮司との掛け合いはあの時代の邦画の珠玉。 [review][投票]
★3瀬降り物語(1985/日)神道を敬い性に奔放な原日本人。影響されている三角寛のサンカ研究がいい加減なものらしいのが難で、史実というより彼の右翼思想の表出と思って観た方がいいのだろうが、これでは藤田弓子の熱演も報われないと思う。中島貞夫の実家には幼少の折、サンカが箕直しに通っていた由。[投票]
★3オールナイトロング(1992/日)本筋は地味だが脇役がいい。なぜかモテまくる肥満児田口浩正と、ナンパされていきなりチンチン掴む若山幸子。こちらを主役で一篇観たかった。 [review][投票]
★3シャブ極道(1996/日)麻薬への肯定的な評価は中島らもなど活躍した時代の産物なのだろう。この主題にもう少し穿ちがほしかったが漫画でしかなく、破天荒な役所広司の滑稽譚に留まる。 [review][投票]
★4新宿♀日記 迷い猫(1998/日)長曽我部蓉子の告白は矛盾し続けるが、矛盾するからこそ告白なのだと徐々に判明する『女と男のいる舗道』のバリエーション。とてもいいホンだった。 [review][投票]
★3大怪獣東京に現わる(1998/日)当たるを幸い全てを笑い飛ばす80年代のノリの軽薄は嫌いじゃないのだけど、あんまり面白くなかった。漠然としているが反原発映画で、もう吉本興業はこの手のものは作らないだろう。舞台は三国でリアルな福井弁が愉しい。 [review][投票]
★3月光の囁き(1999/日)SMにはルールがあり、鞭打ちの回数など人によって決まっており、指定九回のところを十回叩くとMが怒り出すらしい。そういう穿った描写に欠けるのが本作の不満、これではMはいずれ死ぬしかないだろうに。 [review][投票]
★2親分はイエス様(2001/日=韓国)いい話なんだろうが説得力もコメディセンスも全く不足しており善意が空回りしているのだけが認められる類。実話という以外に何もでてこないし、二時間ドラマみたいな劇伴が映画を二時間ドラマにしており、これが晩年の斎藤耕一かあという詠嘆だけが残る。 [review][投票]
★2陽はまた昇る(2002/日)この合理化のなかの現場任せのワーカホリック物語は『一番美しく』と余りにも似ている。本邦企業が戦後、戦時体制そのままで成長したという説を裏書きするもので、こんなこと繰り返していて、日本経済の陽はまた昇るのだろうかと疑わされる。ビデオの統一規格無視の生臭い企業競争を感動物語で正当化するのも無理筋。 [review][投票]
★2阿修羅のごとく(2003/日)何のタメもないクライマックスが延々連発されるダイジェスト版で、女優陣が肩怒らせて演技し続ける様は殆どバラエティショー。たぶんコメディなんだろうが客席は笑いもなく2時間凍りついていた。 [review][投票]
★2聯合艦隊司令長官 山本五十六(2011/日)軍隊にも慎重派がいましたという逸話は頼もしいものだろうが、いくら何でも事後的な知識でもって山本五十六ひとりを美化し過ぎだし、進行中の日中戦争を殆ど無視する本邦太平洋戦争ものの定跡踏襲も相変わらず貧しい。日米同盟強化のための反省文の趣。 [review][投票]
★3空飛ぶタイヤ(2018/日)TVの映画化にせよ企業告発映画の伝統が続いているのは頼もしいことだが、この山ほど湧いてくるイヤミ君たちは何なのだろう。悪役は底無しに悪役に仕立てていいという文法が今世紀の邦画には蔓延している。本作は典型的でいかにもやり過ぎ。 [review][投票]