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寒山拾得さんのコメント: 投票数順

★2聯合艦隊司令長官 山本五十六(2011/日)軍隊にも慎重派がいましたという逸話は頼もしいものだろうが、いくら何でも事後的な知識でもって山本五十六ひとりを美化し過ぎだし、進行中の日中戦争を殆ど無視する本邦太平洋戦争ものの定跡踏襲も相変わらず貧しい。日米同盟強化のための反省文の趣。 [review][投票]
★3空飛ぶタイヤ(2018/日)TVの映画化にせよ企業告発映画の伝統が続いているのは頼もしいことだが、この山ほど湧いてくるイヤミ君たちは何なのだろう。悪役は底無しに悪役に仕立てていいという文法が今世紀の邦画には蔓延している。本作は典型的でいかにもやり過ぎ。 [review][投票]
★3教誨師(2018/日)ときどき面白い件もあるが、総体に机上で作った感がそこここに顔を出してリアリティが薄いし、キリスト教と正面から向かい合わないスタンスがなまくらに見える。演劇的な作劇で美術に得るものがないのも不満。マイナー邦画は貧乏だ。 [review][投票]
★5ナタリー・グランジェ(女の館)(1972/仏)実に奇怪なタッチで謎かけが解かれぬまま淡々と進行、『マリエンバート』とも共鳴する物語抜きのアルトマン『三人の女』の趣。音楽は『未知との遭遇』の元ネタに違いなくさらに奇怪。 [review][投票]
★4うなぎとり(1957/日)うなぎとりに夢中になる子供たち、贅沢なひと夏の経験。望月優子さんが稀なことに終始白い歯を見せ続ける、多幸感溢れる教育映画。農村の光景がとても美しい。 [review][投票]
★2荒い海(1969/日)余りにもかいつまんだ薄味の群像劇で、クライマックスを科白で済ますなど演出放棄としか云いようがない。短縮版しか残存しないので仕方ないのかも知れないが。克明な当時の捕鯨方法の記録だけは見処。 [review][投票]
★3河内のオッサンの唄(1976/日)出鱈目な川谷拓三に尽くす夏純子みたいな昔の人情喜劇は本作辺りで終点、時代は寅さんに移行したのだろう。私的ベストショットは酔っ払って路上で三輪車に跨るミヤコ蝶々。間違えて再見。 [review][投票]
★4花ちりぬ(1938/日)蛤御門の変を扱う。キャメラはお茶屋を一歩も出ず登場するのは女優だけという作劇だがトリッキーさはなく、女たちの戦争を演劇的に丁寧に描いている。流麗でしっとりした好篇。振袖で嬌声あげて踊り笑う可憐な舞妓たちが儚くその後が気になる。 [review][投票]
★4深夜の告白(1949/日)中川信夫版。企業人の戦争責任を問うシリアスな物語のなか、作劇のバランス上登場するのか躁状態の月丘千秋がものすごく、狂った時代をさらに狂ったものにしている。石段スキップは素敵な名シーン。 [review][投票]
★3港へ来た男(1952/日)海の男のいい加減な三角関係ものでいかにも拙い作劇だが、端役の左卜全だけは忘れ難い印象を残す。港町にはこんな人もいたのだろう。彼を主役にしてほしかった。鮎川港の近海捕鯨の記録。 [review][投票]
★4ハワイの夜(1953/日)ハワイ日系人の受難を扱う真面目な作品。甘いロマンスの歌謡映画も意欲的に撮られており、クライマックスは名作『婦系図』の変奏で渋い。マキノは戦後、キリスト教主題を多く撮っている。 [review][投票]
★3月は上りぬ(1955/日)意欲的な演出が幾つもある見応えのある映画。しかし作劇は階層差をネタにする良くも悪くも後期オヅで、観ていて愉快なものではない。ジェンダー・ギャップ特集で観たが、上映趣旨もそういうことなのだろう。 [review][投票]
★4集金旅行(1957/日)面白いホンだと思うのだが、演出のノリが悪いのかあんまり笑えない。ただ収束は定跡覆して見事な喜劇。佐田啓二の喜劇には自らのメロドラマ群を破壊する落差がある。 [review][投票]
★5モダン道中 その恋待ったなし(1958/日)上映作品を横から延々批評し続ける岡田茉莉子のスマしたナレーションが素晴らしい。「タイトルを見ているのは退屈なものでございますね」「ここまでがロケーション、ここからがセットでございます」。悪ふざけが過ぎて監督は干されたらしい。現代ならもっとやれの世界。 [review][投票]
★2天皇・皇后と日清戦争(1958/日)日清戦争史自体が珍しい題材でそれなりに学びがあり、その歴史解釈は今やネトウヨ史観の一典型。中国が気の毒になるような断片も含まれ曰く云い難い感想が残る。大蔵貢の妾高倉みゆきの皇后は不敬と云われた由。アラカンが比較的若作りなのが笑える。 [review][投票]
★3太平洋戦争 謎の戦艦陸奥(1960/日)新東宝史劇ではなく新東宝際物の類。アラカンがA級戦犯嶋田繁太郎を明治天皇そのままに演ずるのは構わないのだろうか。映画は冒頭字幕で「登場人物を始め総て創作」と断り入れただけで無茶する。 [review][投票]
★3恋狂い(1971/日)エロ劇画定番の淫乱地獄巡りは当時新しかったのかどうか、いろんな人がいるなあという感想。序盤はミステリアスないい雰囲気があったが、アントニオーニはほめ過ぎ。 [review][投票]
★4誇り高き挑戦(1962/日)日活ノアールな火口噴煙のニュー東映。夜の街に埋立地、ワンショットの連発にジャジーな劇伴と、後にはお目にかかれない深作。黒眼鏡の鶴田浩二は青春スタアと任侠の端境期、過去の清算しか生きる術がない男がやたら似合う。丹波哲郎は常に同じ。 [review][投票]
★3海軍(1963/日)海軍の個人主義、太平洋戦争では海軍も迷惑受けたというナカソネ好みの史観が後ろ向きに主張される。田坂作品(43)のリメイク(未見)で戦中に同じ内容なら驚きだがどうなんだろう。映画は駆け足で尺足らず。三田佳子の成長の記録だけはやたら面白い。 [review][投票]
★4喜劇 各駅停車(1965/日)森繁のり平喜劇だが意外な燻し銀のタッチが珍しくも好ましく、いつもののり平の発狂を誘う受難も人間味が溢れている。岡田茉莉子は流石の好演、有田双美が可愛い。 [review][投票]