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[コメント] 風速40米(1958/日)

台風直撃を現すタイトルがノンビリした時代を記録している。21世紀なら「風速85米」とするところだろう。見処は渡辺美佐子のシャンソンと北原三枝のセミアコつま弾くソーラン節。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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本作は新聞記事で台風下の喧嘩が報道されて終わるのだが、台風のなか工期に間に合わせるために施工させた宇野は労働三法の違法行為ではないのだろうか。

この10階建てぐらいの高さのビル建設、足場に材木が使われている。これはいつ頃まで続いたのだろう。映画はこの現場で何度か上品にクレーンを使っている。また、冒頭の転落事故の撮影は蔵原らしく冴えている。このビル見上げてタクシー運転手が「あっしなんかまだバラック住まい」と口走るのが印象的、アパート建設なんだろう。

物語はいつも通り周囲の無茶を実直な裕次郎が正すパターンだが、本作の宇野重吉の建設会社へ謀反起こして工事遅延というのは実に冴えない。また、序盤の現場の転落死亡事故というシリアスから、裕次郎・北原の風呂場のギャグの件に繋ぐのは無茶だと思う。

モノクロは全て渋い蔵原のカラー映画だが、中間色に色彩調整しているのだろう、渋いカラーで愉しい。殴り合いはクライマックスより(悪役は山田禅二)冒頭の山小屋が長回しで裕次郎にも無茶させており迫力があった。私的ベストショットは当然、北原三枝のセミアコつま弾くソーラン節の件。ギターは北原のような背丈のすらりとした者が持つと映える。また、序盤で裕次郎がこのセミアコつま弾くブルースがやたら格好いい。渡辺美佐子のヨロメキはどれ観ても最高で、おまけに本作ではたっぷりシャンソンが聴ける。田園調布駅がパンアップで記録されている。

(評価:★3)

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