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[コメント] 座頭市血煙り街道(1967/日)

シリーズで何作かあった子連れもののひとつだが本作も優れている。このコンセプトが似合う設定なのだと思う。笠原良三からは『秋立ちぬ』を想起すべきなのかも知れない。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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市がようやく捕まえた父親の伊藤孝雄は、最初は子供の存在を否定しにかかる。市は懐から紙を取り出し、子供が描いた(旅に死んだ)母の似顔絵だ、どうだ似ているだろう、さすが絵師のあんたの息子だと父親に見せる。そこに描かれているのは市の似顔絵であった。これを見て伊藤はほろりとして、市に礼を云い、子供を認める。

この件は感動的だ。なんで感動的なのか理解できない類の感動があり、理解できないことが即ち感動の要素なのではないかと思ったりさせられる。ラスト、橋の下に隠れて子供をやり過ごす市もいいシーン。このシリーズではこういうのがなぜかベタにならない。

相変わらず上手くないのがライバル剣豪で、本作の近衛四十郎も役処の肉付けに陰翳というものがなく中途半端。ただ格好つけに出てきているとしか見えない。雪の対決における力の入った美術はいいものなだけに惜しい。

有名女優が名を連ねるなが、美味しい処を坪内ミキ子に持っていかせるのが上手い。(時代劇なのに)中尾ミエ歌う和製ポップスはいい冗談。寅さんだったら、この朝丘雪路一座はどこかで必ず主役と再開する処だが、最後まで出てこなかったのは驚いた。作劇上は別にどっちでもいいんだけど、朝丘に気の毒な気がする。

(評価:★4)

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