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[コメント] ゆきゆきて、神軍(1987/日)

今村昌平(企画)の傑作でもある。「復讐するは我(神)にあり」のタイトルは本作にこそ相応しい。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







日本はドイツのように、大戦の犯人を公的に自ら裁いたことなどない。東京裁判に任せ(しかも後から拗ねてみせ)、あとは一億総懺悔で済ませてしまった。もし独自の裁判が行われれば、奥崎は証言し、認められただろう。社会は奥崎のような少数の「奇人」も、小山田さんのような大多数の隠蔽体質も産み出すことはなかった。行われなかったから、「奇人」と隠蔽体質が蔓延している。見やすい当たり前の話。本作はこの病を的確に抉っている。

封切り時、バブルの渦中の渋谷で観た。客席は笑いが絶えなかった。観客は笑える映画を求めて観に来ていた。シネスケのコメントは当時を彷彿とさせるものが含まれている。そういう時代だった。

奥崎にぶん殴られて、ついにポツポツと語り出す小山田さんの、まるで悪魔が抜け出たような穏やかな顔が忘れ難い。奥崎の奥さんの穏やかな関西のおばちゃん振りもいろんな感想を引き起こし、印象に残る。

(評価:★5)

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