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[コメント] あゝひめゆりの塔(1968/日)

役者がみんな誠実に取り組んでいるのが伝わってくるのがいい。
寒山

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







優れているのは前半。吉永小百合の教育実習中、飛行機の爆音が響いて中断され、子供たちが机の下に隠れるのに、大人たちは自軍だからと何とも思わず立ち竦んでいる。この画が不吉の導入として見事に機能している。(沈没する)対馬丸に乗船する児童が吉永に励まされて、えっという顔をして応えないショットも凄味がある。この子は死を予感しているのだ。そして母を失った件における吉永の慟哭が凄い。若い女優がこれほど悲痛に泣いたショットはちょっと思い浮かばない。

動員後は残念ながら弛緩する。これはもう、今井=水木作が素晴らし過ぎたのだから仕方ないのだろうが、同作と同じエピソードが早回しに展開されている具合で、青酸カリを誰が貰うかジャンケンで決めるといった優れた細部は省かれてしまっている。大きな違いは、今井作にあった軍部批判が抑えられ、中村翫右衛門の校長が最後に部隊の召集解除を勝ち取ったと強調されている処。

彼女らの最期は、撃たれて折り重なり倒れる今井作に対して、本作は手榴弾自爆に変えられている。軍派遣の教諭をぶん殴る梶芽衣子の自決はすでに女囚さそり系で作品に別の意味を付与していて素晴らしい。ラストの吉永の爆発はそこまでするのかと言葉を失う。

この時期の日活モノクロは無双であり、本物のグラマンに低空飛行させる爆撃シーンは本物かとビビらされる迫力。対馬丸の沈没も映さないなど、安直にセットを使わないのも功奏している。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] 水那岐[*]

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