特に序盤が酷い。牧瀬里穂の人となりを緩やかに積み重ねるべき導入を放棄して、泣いて笑っての派手なダイジェスト版にしたものだから、中盤以降も牧瀬がただの捻くれ者としか見えない。彼女が全然病弱に見えないのも造形ミスで、穴掘りに係る哀れは何も感じられず、ただ手紙の科白で補足されたに留まる。ラストは感じいいが、アイドル映画らしい瞬発力によるもので、積み上げられた経験との関連性は薄く、物足りない。

冒頭で海がどうとか喋りまくっていたのは最後はどこへ収まったのだろう。長々映される『二十四の瞳』なども意味不明（中嶋朋子の造形ということなのか）。観客は注意して観ているのだから、無駄な労力を使わせないでほしい。カット尻の定まらなさも酷い。『ＢＵ・ＳＵ』はも少し巧かった記憶があるんだけど、どうなっているのだろう。