[コメント] 恐怖の雪男(1957/英)
余りにも真面目な切り口に驚かされる『惑星ソラリス』の先駆作
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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とっても意外なことに真面目な作品で驚かされる。Abominableとは反語であり、雪男は賢人で、怪しげな寺院の僧侶は雪男の庇護下にあることが徐々に判る仕掛けになっている。雪男を捕獲しに行く男たちは開発至上主義の末端にあり、彼等には賢人を捕まえることはできない。高山病とは無論間違った解釈で、次々と死んでゆく連中は聖なるものを犯した無意識の自害の念から狂い死ぬのだと知れる。高度成長社会に刹那的な疚しいものを感じた人々に共有されただろう。
ハマー・プロ云々というB級映画鑑賞の常套句で語れば、雪男が殆ど登場しないのは手抜きだということになるだろうが、そこにこそ常道を逸脱する面白さがある。ゴジラが登場しないゴジラってのがあったが、当然本作の影響だろう。いっそ登場させないのかと思っていたが、最後に顔半分だけ現れるその賢人らしい目線は見事な造形で、趣旨を貫徹させて素晴らしい。
2017年に話題のスコセッシの突撃布教もの『沈黙』と真逆の世界観があるのが面白い。両方観てこそものが考えられるというものだろうと思う。別に『ソラリス』でいいんだけど。
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