コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ぶらりぶらぶら物語(1962/日)

ホノボノした人情喜劇で穏やかな続『裸の大将』の印象。白眉は突然マジになる凸ちゃんの「原爆を許すまじ」で、保守系リベラルの明快な態度表明が美しい。是枝・綾瀬もこのくらい演ってほしいものなんだが。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







全編にわたって小林桂樹のユルい魅力炸裂で、彼なしではできない映画だろう。子役と遊んで一篇できちゃったみたいな作品。方々に私物隠しているなど穿った描写に富んでおり、色んな乞食体験ができるのが愉しい。

しかしまあ、突然に『忘れられた人々』な「いざり」はさすがに悪乗りの感甚だしいが、62年当時はまだ市中にいらしたのだろうとは思う。ラストで小林にサラリーマンになれと指示する凸ちゃんも時代。その気になればいつでもサラリーマンになれたのだろう。東京映画。林光から村木忍(女性とは知らず吃驚)まで登場するタイトルバックも秀逸。

凸ちゃんのコメディはこれが最後の感慨がある。皇后美智子にまで交流があって「原爆を許すまじ」を歌った人物は稀少だろう。その歌唱は控え目で冗談半分だが、参加するデモのパネルがマジだと語っている。この保守系リベラルの穏やかな抗議は先鋭化の60年代には評価されなかったのだろうが、今観るとあらまほしきことに見える。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。