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[コメント] チャーリー(1992/英=米=仏)

美点は序盤のいくつかの初期ドタバタの再現で実に鮮やか。ここだけでも撮られた意味はあった。初恋の相手役のモイラ・ケリーを最後の妻に再任用する配役が優しくていい。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







独裁者』のナチ批判がアメリカ批判と解されたという皮肉は、ああそういうものだったのかと阿呆らしくも腑に落ちるものがあった。この国に品位と秩序を、と移民制限を解くFBI高官の価値観はハリウッドと衝突する。チャップリンのの活躍はアメリカに何も益がないという弁護士の認知訴訟の陳述もひどい(これは正確なものらしい)。突然全てを「国益」で順位づけする奴に碌な者はいないという普遍的真理。

駆け足は仕方ない。エドナ・パーヴァイアンスなど鮮やかな登場で、登場した限りはもっと活躍してほしかったけど。

チャップリンはスイスの別荘でインタヴュアーに向かって嘆息する。「傑作はできないものなんだよ。あと一歩まではいくが、結局凡作。力が足りないんだ。二流なんだよ。それでも人を笑わせた。悪くないさ」。本人の発言からの引用なんだろう。謙遜としか云いようがない。最後の『キッド』と『サーカス』の合わせ技が見事。こんないい作品を撮ったのだと改めて感銘を受けた。

(評価:★4)

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