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[コメント] 暗くなるまで待って(1967/米)

色んなことがあったサスペンスが終わった後も心に残るのはオードリーの凛とした佇まいであり、これは数多ある盲人映画のなかでも突出している。ここがとても好きだ。
寒山

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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私はこれまで肉親はじめ三人の盲人との付き合いを過ごしてきたが、本作のオードリーほどリアルな造形を他に知らないし、そこに幾らかの聖化が施されているのも和まされる。特に終盤は下手をすれば盲人の障碍を餌にしたような下品な映画になっただろう。個人的にベストショットはオードリーがステッキで廊下の電球を壊す切迫した件だが、これらも含めて下品になるどころか障碍者の尊厳をすら感じさせてくれる作品になっている。これが嬉しい。

終盤の間接光から闇、燐寸の火、また闇、冷蔵庫という畳みかけは、映画史上画期的かも知れない。サスペンス仕立てに気を取られながらも、観客(盲人は多分ひとりもいないはずだ)は盲人の世界を体感することになる。デレク・ジャーマン系の前衛でなく大衆映画でこれを撮ったのが偉い。

彼女は失明したことに「まだ慣れないの」と云うわりには耳が良過ぎる気はする。しかし、耳がいいわりに電話の番号違い(ダイヤルの戻る時間で判るはず)を指摘できないのは、深く考える間もなく過ぎてしまった微妙な疑問、ということなんだろう。夫の撮影したパネル見て戦友と偽る犯人が「俺も写っている」と法螺を吹き、オードリーが、はてそんな写真があったっけ、と一瞬戸惑うのも同じに違いない。疑問を累積させる繊細な演出だった。

本作最大の失点は配役。犯人のリチャード・クレンナと亭主のエフレム・ジンバリストJr.の顔が似過ぎていて、観る度に混乱されられる。これだけは何とかしてほしかった。ニューヨークのタウンハウスの構造がよく判るのは美点。

(評価:★5)

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