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[コメント] レオパルドマン 豹男(1943/米)

闇夜にぬっと出てくるトランプ広げた片腕、みたいな冴えまくるショット満載で愉しめるが、見せ場が前半に偏り過ぎではないだろうか。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







鉄橋でテレサが襲われる件の、暗がりから転がり出るタンブルウィードや列車の通過音、そして豹のとんでもないアップ、という連続技がいきなりクライマックス。コンスエラが墓地に閉じ込められる件の空間処理もまた素晴らしい。ふたりとも扉に閂をかけられて死に至る(そうではないマーゴの死は比較して詰まらない)。

ジェームズ・ベルの猟奇殺人にKKK団の行進が重ねられる謎解きは、序中盤のメキシコ風俗と何も絡んでおらず復讐とか浄化とか云った意味づけもなく、「異常者」としての煩悶なども何もなくてただ唐突な語り。しかし、この館長の最初の登場シーンのショットがまた物凄い。テレサの自宅へ警察とともに現れるのだが、デニス・オキーフたちが会話するその奥の窓際で、体躯を異常に丸めて静止しているのだ。ああこいつが何かするのだなとここで判るのであり、後は「正常」な彼の空々しさを眺めることになる。「豹は野原の方へ逃げますよ」なんて、カモフラージュするつもりなら云わないだろうに。

しかしやっぱりKKK団まで登場させるなら、も少し告発の切り口を観たかったところ。イザベル・ジュエルのトランプ占い師も最後まで顔出さないほうが面白かっただろうに、途中から普通になっちゃうのは詰まらない。デニスとジーン・ブルックスが終盤真面目になっちゃうのも面白味に欠け、この辺は時代の限界という印象。

(評価:★4)

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