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[コメント] ニノチカ(1939/米)

30年代に国家社会主義のパロディを敢行する先見の明は尊重されねばならないが、これに対峙させるのがブルジョア的享楽ではなんとも。ルビッチ的方法の限界の感あり。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







公開当時は独ソ友好条約、両国でポーランドを分割占領(ポーランド戦がグレタ・ガルボの回想に出てくる)の時代なのだが、すでにシベリア送り(帝政時代からあったが)とか私信検閲とか、ソ連の悪事は知られているのだった。

こんな連中はやっつければいい訳なんだが、これに相対するのがブルジョア臭コテコテのメルヴィン・ダグラスで、真面目なガルボを物欲で吊るという展開は、どうにも外している感が強い。どこでもいい、例えばポーターに物運ばせるのは社会的不正義だとガルボは云い、映画はそんな馬鹿なと笑いを取ろうとしているが、いやその意見も尊重すべきだと我々は思ってしまう訳で、本作はそんな件が散見される。資本主義の享楽はソ連崩壊の一因だが、それ以上の毒性があるんじゃなかろうか。

見処はガルボが笑うんだぜの件で、私などガルボ帝國などどうでもいい者にも感動的。ガルボが生身でぶつかっているのが伝わってくるからだろう。ダグラスの小噺は「クリーム抜きのコーヒーを下さい」「あいにくクリームを切らしていますので、ミルク抜きでいいですか」。

(評価:★3)

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