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[コメント] 喜劇 男は愛嬌(1970/日)

らしいパワーに溢れ見処多く、やはりダンプ闖入の画が優れている。カリエス少年やダンプによるボロ屋破壊からは『ニワトリはハダシだ』が想起される。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







噺はイマイチ。渥美清が借金返済のために倍賞美津子を金持ちと結婚させようという物語に必然性がなく(本来は正反対を志向するはずの処を反転させているのだが説得力を欠く)、「お兄ちゃんは春子が好きなのが判らないんだ、馬鹿だから」という寺尾聡のフォローも時期を逸しており肉つけがなくて求心力を欠く。相手方は宍戸錠の造形がえらく真面目なのが新鮮(ライターの火を吹き消し続ける渥美のギャグがいい)だが、だからこそ平凡だし、田中邦衛財津一郎もイマイチ冴えない。

カリエス少年も膨らみが足りず、今回はトルストイだが『女は度胸』でのゲーテ引用の一発で決めるような冴えは見られなかった。倍賞の出番が少ないのも不満。逆に浜村純は露出多く愉しい。寺尾も好演。五分刈りの佐藤蛾次郎とか太宰久雄との絡みとか一連のエロ噺とか、当時はどうだったのか今観れば渥美の「男はつらいよ」のパロディに溢れていて、活気という点ではやはり傑出、森崎の独壇場の趣がある。群像の並べ方などどれも上手いものだ。

(評価:★3)

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